ラボだけでは不十分 イノベーションに必要な8つの「スペース」

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私は以前、イノベーションラボに潜む落とし穴について記事を執筆した。従来型企業で働くイノベーターは大きな文化面での障壁に直面するものであり、こうした障壁がきっかけでイノベーションラボが設立されることも多い。イントラプレナー(社内起業家)が求めているのは、新しいものに拒否反応を示す会社からの干渉を逃れ、イノベーションを起こせる空間だ。

イノベーションを起こす空間が必要なのはもっともだが、イントラプレナーは物理的な空間を巡る経営陣との交渉に多くの時間を費やす傾向にある。こうした物理的空間は、スタートアップ文化を体現するものとして設計されたクールな場所で、仕事をするのに最適だ。

だが、それだけでは十分ではない。イノベーションラボの落とし穴を克服するため、イントラプレナーは物理的空間に加え、次の8つのスペース(余地)を確保する必要がある。

1. 戦略的スペース

イノベーションを企業戦略の中で明示するために、関係者管理の取り組みの一環として経営陣と協力し、イノベーションを将来どう活用するかについてリーダーたちに考えさせる。会社が明確なイノベーション戦略を持てば、イントラプレナーは会社にとって既に重要だと分かっているプロジェクトに優先的に取り組める。

2. 製品ポートフォリオのスペース

経営陣にとって、現製品の漸進的な改善に取り組むのは比較的簡単だ。しかし、新市場のための新製品を開発する革新的なイノベーションははるかに難しいので、イノベーターは経営陣のイノベーション目標設定を支援する必要がある。そのためには、会社が達成したい製品ポートフォリオのバランス(中核的製品、周辺的製品、革新的製品など)を決めなければならない。イノベーション目標を明確にすれば、新商品導入のためのスペースを作ることができ、進捗を確認して確実に目標達成できる。

3. 財務的スペース

イノベーションの明確な戦略が用意されていても、中核事業で予算削減があればイノベーションへの投資を確保できないかもしれない。物理的に異なる場所にあるイノベーションラボでも予算が削減されてしまうことは多い。長期的に成功するには、経営陣がイノベーションへの投資を確保することが必要だ。

4. 管理のスペース

イノベーションの取り組み方法は従来とは異なる。現代のイントラプレナーは、実験と反復的な商品開発を活用した「リーンスタートアップ(無駄のない起業)」の手法を使う。こうした新たな働き方は、中核製品の管理で使ってきたプロセスやツールでは管理できない。その代わり、企業はイノベーションのための管理スペースを作る必要がある。早期の製品開発に用いられるさまざまな管理ツールを使えば、経営陣は適切な質問を適切なタイミングで聞き、チームは次に何をすべきかについて決断できる。
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編集=遠藤宗生

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