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──なぜ花火だったのでしょうか?

小橋:関心をもったのは、2年目のULTRA JAPANで花火が打ち上がったとき。打ち上がる花火を見て、単純にきれいだなと思ったのもそうですが、花火職人の仕事ぶり、そして打ち上がる一瞬にすべてを懸ける姿勢に感銘を受けたんです。全身の毛穴が開く。正直、そんな感覚がありました。

その時から「花火をアップデートしよう」と、頭の中で考えていました。100年以上の歴史があり、日本の伝統文化と言われている花火も登場した頃は相当イノベーティブだったはずです。それこそ、初めて体験した人は全身の「毛穴が開く」衝撃を受けたでしょう。

僕はその体験を今の時代に取り戻したい。もちろん伝統を守り、次の時代へと継承していくことも大事ですが、守り続けていくだけでは本質的に伝統を継承できない。

では何をすべきなのか。いろいろと考えた末に浮かび上がったアイデアがSTAR ISLANDです。僕は仕事柄、海外へ行くことも多いのですが、海外の人と日本の人では「花火」に対する考え方が違う。



──どのような違いがあるのですか?

小橋:海外の人は花火をイベントを盛り上げる演出のひとつとして捉えている。そのため花火だけを鑑賞する「花火大会」というものがない。その一方で、日本には「花火大会」が毎年のように開催されており、花火を観て楽しむ文化が存在している。海外の人からすると、約2時間花火を鑑賞し続けることにはすごく驚きがあるみたいです(笑)。

その日本独自の良さは踏襲しつつ、「花火を観る文化」を海外へ輸出していくにあたって、音楽やパフォーマンスといった複合要素があるべきだと思い、現在の形になりました。

坂本:僕がSTAR ISLANDのプロジェクトに参画を決めたのは、小橋のアツい思いに突き動かされたからです。これまでに、いくつかのイベントを手がける中で「花火」はとてもポテンシャルがあるイベントだと思っていたのですが、正直、エイベックスが取り組むものではないと思っていました。ある意味、守りに入っていたわけです。

ただ、エイベックスも立ち上がった当時は新しいカルチャーの開拓、浸透に率先して取り組む会社でした。小橋の話を聞いて、うちがやるべきだなと。決断にあまり時間はいりませんでしたね。

 

「花火大会=無料」の考え方を変える必要がある

──STAR ISLANDは最も安い席で8000円。高い席は5万円もします。日本では花火大会は無料で参加するもの、という認識がある中、なぜ有料化にしたのでしょうか?

小橋:先ほども話ましたが、無料で開催されている花火大会が軒並み開催中止に追い込まれているのは時代が変わり協賛金が集りにくかったり、警備費が膨大だったりで、つまり、今までのスキームではもう成り立たないわけです。個人的には今後、有料化がますます進んでいくと思っています。

もしかしたら、STAR ISLANDのチケット料金を見て、高いと感じる人もいるかもしれかもしれません。もちろん、花火はどこからでもみることができるので無料の場所もありますし、単純に有料化にしたわけでもありません。

もともと無料で鑑賞できた花火大会を単純に有料化しただけでは、誰もチケットを購入しないでしょう。ですから、イベントのクオリティはお金を払ってでも観たいと思えるくらいまで高めました。

坂本:プロモーションの方法も従来とは異なります。地域の花火大会は、毎年開催される時期が決まっているので、口コミベースで情報が伝わっていく。ただ、STAR ISLAMDは始まって2年目のイベント。当然、知名度はありません。

文=野口直希 写真=若原瑞昌

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