ビジネス

2018.06.01 07:00

中国アントが「世界最大の非上場企業」へ、評価額16兆円突破

Alexander Gatsenko / Shutterstock.com


金融業からテック企業への変貌
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一方、米国進出ではダラス本拠の送金サービス「マネーグラム(Moneygram)」を12億ドルで買収する予定だったが、米政府が個人情報の流出を懸念したため破談となった。

アントフィナンシャルは先端テクノロジーを開発し、既存の銀行に提供する事業にも力を入れている。最近では「光大銀行(China Everbright Bank)」と提携し、AIを用いたサービスやリスク管理システムの提供を開始した。この事業は将来的に大きな収益を生みことが期待できるため、評価額の向上につながる。

「この数ヶ月でアントフィナンシャルは純粋な金融企業からテクノロジー企業にシフトしている。伝統的な決済事業を展開しつつも、新しい収益源に重点を置いている」と上海に本拠を置くコンサルタント会社「Kapronasia」のZennon Kapronは話す。
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こうした転換は、規制当局の懸念を和らげる効果もある。当局は、アントフィナンシャルが提供する消費者向け融資や資産管理サービスが政府系銀行から多くの資金を吸い上げ、債務が一層膨らむことで金融システムのリスクが拡大することを恐れていた。Yu’e Baoは3月時点での運用資産が2660億ドルに達したが、最近になって資金流入を抑えるために1日当たりの投資額に上限を設けた。

「アントフィナンシャルが直面している課題の一つは、規制への対応だ。テクノロジー企業へのシフトによって、既存の銀行と敵対するのではなく、協力関係にあることを当局に印象付けることができる」とKapronは指摘した。

編集=上田裕資

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