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ネーミングが世界をつくる

Waraporn Chokchaiworarat / Shutterstock.com

まさか齢50を迎えんとして2歳児のオムツ替えをするとは。まったく20歳の自分に教えてやりたいものだと、「明るい家族計画」性を欠く、我が人生に微笑する朝だ。

2歳児を保育園に強制連行し、ひと息ついた通勤電車で、いまや同じ車両に乗り合わせた誰ひとりとして持っていない、紙の新聞なるものを縦ふたつ折りにして開いた眼に、飛び込んできたのは「ベビーテック」という見出しだった。

日本経済新聞のことだから、生まれたばかりの頼りないテクノロジーのことかと思いきや、ITで出産や子育てを助けることを指した言葉なのだと言う。「妊活」を助けるアプリは想像がつくとして、「出産」と「loT」とは、さて何なのか。

どうやら、陣痛間隔をスマホ画面でタップなどして、お産の進みを記録することで、産院に着いてすぐに状況を伝えられることができるらしい。しかし、陣痛をこらえ握りしめるスマホには、近所のファストフード店の割引クーポンなどもプッシュ通知される訳だから、テックなお産も気が休まらないのではないかと思うのは男子の戯言か。

アメリカでは、「ベビーテック」のワードは浸透しているらしく、毎年1月にラスベガスで行われる世界最大の家電の見本市「CES」では、専用エリアがあるばかりか、アワードまであるそうだ。ちなみに、今年の「ベビーテックアワード」を受賞したのは、ミルクを飲んだ量や温度を記録でき、誰でも赤ちゃんに飲ませられるスマート哺乳瓶やスマホと連動するチャイルドシートだった。

何しろ「テック」なのだ

子育ての負担を減らすITは今後ますます増え、それはそれで諸手を挙げて歓迎だと感慨深くページをめくっていたら、今度は「エドテック」という小見出しに行き当たった。

まさか、「江戸テック」?! いや、「エデュケーション+テック」だった。表記と意味のつながりが日本語ではしんどいぞと思ったものの、「グローバルコンピタンス」を習得するための教育のIT化もこれからの成長が見込まれる領域に違いない。何しろ「テック」なのである。

いまやどんな単語でも接頭辞か接尾辞でつけると、先進的に思えてしまうスパイシーなワードが「テック」だ。3、4年前に「フィンテック」という新語を眼にしたときの、「そう来たか!」感はしっかりと覚えている。

「テック」は何でもない日常の単語を変身させる。例えば「サンダルテック」。変哲もないゴム草履であってもスマホと連動した万歩計や標高の自動測定機能などがついているそうではないか。ラーメンはどうか。「ラーメンテック」は、さすがに味気なく、難しいか。

文=田中宏和

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