うつ病と診断された人とそうでない人の治療費に大幅な差があることは、全米各地の保険会社を代表するブルークロス・ブルーシールド協会が先ごろ発表した報告書、「ヘルス・オブ・アメリカ」で明らかになった。同協会は医療費の請求に関する年間4000万件以上のデータを収集し、動向を分析している。
報告書によると、2016年に「大うつ病性障害(うつ病)」と診断された患者(加入者)の医療費として協会が医療機関に支払った金額は、患者1人当たり1万673ドル(約118万円)。この病気以外の加入者の医療費、同4283ドルを大きく上回っていた。うつ病患者の30%近くは、糖尿病や慢性閉塞性肺疾患(COPD)をはじめとするその他の慢性疾患のうち、4種類以上を同時に患っているという。
報告書はまた、米国人の多くが複数の医療サービスを利用していることを指摘。特にうつ病の患者はその他の病気の患者に比べて複数のサービスを利用している人が多く、それが医療費の大幅な増加という問題につながっているとの見方を示している。
これは、一過性の問題とは言えない。協会の調査によれば、うつ病の診断件数は2013~16年の間に急増しており、営利保険会社のプラン加入者における診断率は4.4%(患者数は900万人以上)となっている。性別で見た診断率は、女性が約6%、男性が約2.8%。
また、診断率の上昇は特に若年層に目立っている。18~34歳の診断率は2013年に3%だったものの、2016年には4.4%となった。また、12~17歳でも同じ期間に1.6%から2.6%に上昇した。青少年とミレニアル世代にうつ病と診断される人が急増していることについて協会幹部は、「今後、医療分野に大きな影響を及ぼす可能性がある」と述べている。