批判的思考が苦手なミレニアル世代 育成のコツは?

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経営陣は、次世代のリーダーが批判的思考を習得できるように指導する必要がある。そのためにすべきことは次の通りだ。

1. 従業員に読解の課題を出す

従業員が議論すべき話題を持ち寄る「アイデアクラブ」を作る。話題はビジネス関連でも、そうでなくても良い。発表者はそれぞれ、自分の読んだもの(トレンドや記事、はたまた本や映画、ドキュメンタリーでもいい)について3分間のプレゼンテーションを行う。

2. 思考実験を行う

スタンフォード大学哲学百科事典によると、思考実験とは「物事の性質を調べるために使われる想像の方法」だ。科学と経済学で使われることが多いが、マネジャーは思考実験を活用し、ビジネスの機会や課題に関して「もし〇〇だったら」という視点で考えることができる。

従業員に、自分の決断が今と未来にどのような影響を与えるか考えさせれば、ビジネスの問題についてより広い視野で(願わくばより深く)考えるよう触発することができる。

3. 従業員に議論させる

従業員に異なるさまざまな視点を持つことを促し、単なる意見ではなく事実に基づいた議論を形成する能力を伸ばす。保守的な考え方の人には、気候変動対策の規制強化に賛成する議論を展開させ、進歩的な意見を持つ従業員には防衛予算の縮小を擁護させる。最も説得力のある議論を展開した人に報酬を与えよう。

4. 有望な役員候補全員にメンターを付ける

若い従業員に、上級リーダーをメンターとして付ける。役員には、自分とは異なる機能の人を選ばせること。これは、私がコーポレート・エグゼクティブ・ボード(現ガートナー)から学んだアイデアだ。つまり、財務畑の役員は将来有望なエンジニアを、人事系の役員は営業やマーケティングの従業員を選ぶ。メンターは、指導する従業員が議論を展開するとき前提条件から疑うように促すことで、議論を活性化できる。

批判的思考は誰にとっても有益な資質だ。デジタル面での能力や、人とつながる能力は欠かせないが、業務の完了を左右する判断を全従業員が下せるようになる必要がある。従業員は、こうした業務が全体にどのような影響を持つのかを理解していないかもしれない。

「真実の大きな敵は、意図的で不自然で不誠実な『うそ』ではなく、頑固で説得力があり非現実的な『迷信』であることが多い」とジョン・F・ケネディーはかつて言った。「あまりに頻繁に……私たちは、前もって作り上げられた一連の解釈に、全ての事実をはめ込んでしまう。思考の居心地の悪さを感じることなしに、意見の心地良さを享受している」。

批判的思考を実践すれば、意見よりも理性と論理を優先するよう促され、迷信は壊れる。批判的思考は、個人・チーム・組織にとって欠かせないものだ。批判的に選択肢を評価できなければ、成長が阻害され、明るい未来は見ることができない。

編集=遠藤宗生

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