トランプは23日にニューヨーク州ロングアイランドで行われたフォーラムで、「人が米国に移住してくるたび、その出身国への支援を大きく削減しようと考えている。支援をするとしてもの話だ。全く支援しないこともあり得る」と述べた。
この発言に対する批判の多くは、困窮国に対する支援削減をめぐる政策面での通念に焦点を置いたものだった。米紙ウォール・ストリートジャーナルによると、一部の移民政策専門家は、米国に入国する移民を減らすためには、該当地域への支援を増やし、貧困や組織犯罪と闘うことが必要だと指摘している。
米シンクタンク、世界開発センター(CGD)のマイケル・クレメンス上級研究員はツイッターに「米国が支援する中米の援助プロジェクトは、変則的な移住を加速させている原因である暴力自体を改善していることが示されている」と投稿した。
クレメンスは中米からの子ども移民流入の根本原因を探るべく、2011~16年にビザなしで米国に単独入国し拘束されたエルサルバドルとホンジュラス、グアテマラの中米3カ国出身の子ども約17万9000人全員のデータを分析。結果、出身地域で殺人が10件増えると、米国に移住する子どもたちが6人増えたことが分かった。
今回のトランプの発言の中で最も顕著だったのが、政府は自国民の流出を止めなければならないとしたことだ。しかし、いかなる個人も自国を去る基本的な権利を持っているし、米国は1948年12月10日に、その旨を定める国連決議に賛同している。世界人権宣言の第13条には「すべて人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する」とある。
トランプの発言からみるに、彼はこの宣言の存在に気づいていないか、ホンジュラスやグアテマラ、エルサルバドルの政府がこの宣言に違反すべきだと思っているかのどちらかだ。トランプは次のように述べた。
「(中米各国の政府当局)は自分たちがこれを止めようと努力していると思わせるだろうが、実はそうではない。人々が自国を去るよう後押ししているのだ。こうした人々はいらないと思っている。われわれ(米国)のもとに来る人たちは不要だと」。