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2018.05.30

アマゾンも出資の絵本「読み聞かせアプリ」を作った父親

Evgeny Atamanenko / Shutterstock.com

インタラクティブ絵本アプリ「Novel Effect」は、音声認識テクノロジーを子供向けの絵本に活用したアプリだ。ダウンロード数は5万件を超え、月間アクティブユーザーは1万人を突破。この半年で400%も成長した。

Novel Effect は5月22日、300万ドル(約3億3000万円)のシリーズA資金を調達したと発表した。今回のラウンドは「Alpha Edison」と「TenOneTen Ventures」「Waverley Capital」が共同で主導し、アマゾンも出資に参加した。

アプリのダウンロードは無料で、選べる本は100冊以上にのぼる。アプリには音声認識機能が搭載されているため、読みたい絵本を手元に用意してアプリでその本を選ぶと、読み方に合わせて音楽や効果音が流れ、キャラクターが話し出す。このアプリが生まれた背景を同社CEOのMatt Hammersleyに聞いた。

Novel Effectを思い付いたのは、2015年に友人が主催してくれたベビーシャワー(出産前のお祝い)の場でのことだったという。

「妻が第1子を妊娠中で、友人がお祝いパーティーを企画してくれた。プレゼントには絵本を希望した」とHammersleyは語る。

「ある友人が名作絵本の『あなたが生まれた夜に』を朗読してくれたのだが、彼女はたった1人で物語に登場する様々な音を再現して、物語に命を吹き込んでいた。この時、すべての子供たちがこのような体験を出来たら読書が好きになるだろうと思った。娘が生まれる2カ月前にアプリのコンセプトが生まれた」

Novel Effectはアプリに指示を出さなくても音楽や音をタイミングよく流し、コミュニケーションを促進させるという。

「このアプリは常に周りの音を拾っているので、デバイスに語り掛ける必要はない。会話を聴き取り、様々な場面でコミュニケーションを促進させる。この技術は他のコンテンツにも応用可能だ」とHammersleyは話す。

絵本の読み聞かせはパーソナライズされた体験であるべきなので、音声認識を活用したアプリには絶好のテーマだという。「親と子が本の内容に集中することが読み聞かせの場面では大切だ」とHammersleyは語る。

「アプリを立ち上げたら親子でストーリーに集中できる。合図を示す音が入ることはあるが、物語と読み手が主役になるよう配慮している」

今回調達した資金で事業を拡張したいとHammersleyは意気込む。今後は配信やコンテンツ、IPに関する分野で戦略的パートナーを探していくつもりだと彼は話した。

編集=上田裕資

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