スパイシーなジョージア料理に舌鼓 日本から2時間の「週末海外」へ

ジョージア(旧グルジア)料理は日本では味わえないスパイシーな味覚

ウラジオストクでは、本場のロシア料理以外にも食の愉しみがある。近隣アジア出身の住民も多いことから、中国や韓国や北朝鮮料理のレストランもあるし、極東から遠く離れたコーカサスや中央アジアの料理を味わえる店もそこかしこにあるからだ。

なかでも代表的なのがジョージア(旧グルジア)料理。日本ではほとんど味わうことのできない未知なる味覚は、世界最古とされるジョージア・ワインとともに、この町の人たちに愛されている。

ジョージア料理で代表的なものといえば、ハーブソースでマリネしたひな鳥をオーブンで焼いた「タバカ」や、超スパイシーな仔牛のトマト煮込みスープ「ハルチョー」、チーズとタマゴを包んだジョージア風ピザ「ハチャプリ」、テントのようなユニークな形をした水餃子「ヒンカリ」など。

クリームソースを多用するマイルドなロシア料理に はない、エキゾチックで刺激的な風味が、黒海に面したジョージア産のセミスイートなワインによく合う。


楕円形の平たいパン生地にチーズやタマゴを入れたピザパンの「ハチャプリ」

ジョージア・ワインが飲まれるようになったのは、ロシアがグルジアを併合した19世紀初め頃からだといわれるが、グルジア人であるスターリンが愛好したことから、ソ連時代に普及したのだという。オーク樽やクヴェヴリという甕(かめ)で熟成する古代から伝わる醸造法が特徴だ。

有名な銘柄としては、スターリンが愛飲した「キンザ・マラウーリ」。ドライ系では「ムクザーニ」「サペラーヴィ」で、英国のチャーチル首相が絶賛したスイートワイン「キンズマラウリ」も広く知られている。白ではドライ系の「ツィナンダーリ」だろうか。

2008年の南オセチア紛争を機に関係が悪化したため、一時期、ロシアはジョージア・ワインの輸入を禁止していたが、そのときはギリシャ経由でボトリングされたものがロシアに入っていたという。現在、ロシアではフランスや南アフリカ、チリ、オーストラリアなど世界各地のワインが輸入されているが、この国の人たちにとって長い間ワインといえばジョージアなどコーカサス産のものだった。


ジョージアワインの歴史は世界最古で8000年前にさかのぼるという
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文=中村正人 写真=佐藤憲一

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