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中東のビジネス事情

壁に囲まれたガザ地区でも、太陽の光だけは豊富にある

世界的に太陽光発電市場が急成長している。2016年、世界全体の導入量は昨年比で1.5倍も増えた。日本は累積導入量で世界2位(42.8GW)で、東日本大震災後に導入が激増したが、近年は伸び悩む。ダントツ1位の中国(78.1GW)は、1年間で35GW近く導入量を増加した。

ちなみに3位はドイツ(41.2GW)だが、欧州各国は近年風力発電が主流になっており、新規導入量は振るわない。近年伸びているのは、累積導入量4位のアメリカのほか、新興国がメインだ。

人気の理由は、コストの安さだ。2010年から2018年までに太陽光発電のコストは73%も下落した。安価で分散型電源である太陽光発電は、国土が広くインフラが未発達の地域で、安定した電力源として期待が高まっている。

特に可能性を秘めているのが中東だ。日照時間が日本や欧州の1.5から2倍近く、発電量も日本と比べて2倍近くになる。発電コストもその分安価だ。2016年時点で世界の導入量に占める割合は、中東とアフリカを合わせて2%程度に過ぎないが、さらなるコスト減で導入量はますます増えると見られている。

中でも地中海に面するパレスチナ自治区ガザは、日照時間が長いだけでなく、その「特殊な政治的状況」からも太陽光発電への期待が高い。

イスラエルとの衝突が絶えないパレスチナ自治区ガザは、南はエジプト、西は地中海に接し、古くからアフリカ大陸とユーラシア大陸を繋ぐ交易の拠点だった。ところが現在は政治問題で陸海共に封鎖されていることから、「天井のない監獄」と呼ばれ、電気や安全な飲料水もままならない状況だ。

そんな地で唯一自由に享受できる自然の恵みが、太陽光というわけだ。年間日照日数約320日という恵まれた環境を生かして、安価で手軽な太陽光発電システムを開発・販売する動きが活発化し、年間電力消費量の0.5%を太陽光が賄うまでになっている。

逆境の中で、地の利を生かしたサステイナブルな電力供給元として、太陽光発電システムに活路を見出す人々を紹介したい。


地中海に面するパレスチナ自治区ガザ(Chris McGrath/Getty Images)

1日4時間しか電気が使えない地

マジド・マシュハラウィさん(24歳)は2017年に「もっと人々の手が届く太陽光発電システムを販売したい」と家庭用の太陽光発電システムキットを販売する会社を立ち上げた。その名も「サンボックス」。

一日1Kwh、ガザ地区の各家庭で最低限必要になる電力を補えるよう設計されたキットの販売予定価格は400ドル(約4万3000円)。設置費を込めた平均価格が600〜1000ドルとなる従来品と比べ、大幅に価格を抑えることができた。

「中国産のパネルを輸入、各自で設置できるようにデザインし設置費を浮かせることで、コストを下げた」とマジドさん。失業率41%(パレスチナ中央統計局PCBS 2017)、就業者の平均月収は200〜500ドルほどのガザ地区において、200ドルの差は画期的だ。

文=本田圭

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