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I write about the importance of creativity in modern branding.

hilalabdullah / Shutterstock.com

「Have a break. Have a Kit Kat.」という合言葉で強力なブランド・アイデアを築いたキットカットだが、このキャッチコピーが力強い理由は、キットカットがこのメッセージを継続して掲げ、常に新たな方法で命を吹き込んでいるからにほかならない。ブラジルで新たに展開した「Delayed Flight Break Machine(遅延フライト・ブレーク・マシン)」と呼ぶ企画がその良い例だ。



この企画では、空港の施設内に、フライト遅延情報をリアルタイムで取得する自動販売機を設置。搭乗者が航空券を読み込ませ、情報が合致すると、キットカットが無料でプレゼントされる仕組みだ。キットカットが待ち時間をほんの少し"甘く"し、フライト遅延によって強いられたブレーク(休憩)を素敵なブレークへと変えてくれるのだ。

これは、誰もが勝者になる仕掛けだ。フライトが遅れた人は無料でお菓子をもらえる。そうでない人は恐らくフライトの遅延をうらやましがることはない一方で、キットカットをもらった人たちの表情を見ることで、良いブランドメッセージを受け取る。そしてキットカットは、顧客を真に気に掛けるブランドとしての立場を得る。

フライト遅延を知らされた直後にプレゼントされる無料のチョコレートは、どんなにおいしいことだろうか。嬉しいサプライズの瞬間はひどい経験と対比され、その記憶が神経細胞に擦り込まれる。こうした人々全員が、ブランドアンバサダーとは言わずも、ブランドのファンとなることだろう。

ブランド・アイデアは何物にも勝る

ブランド・アイデアは、企業活動の中心に据えられなければ意味をなさない。今やブランド・アイデアは、単なる広告キャンペーンではない。キットカットは明らかにこのことを理解し、ブランドの釘を何年にも渡り繰り返し("ブレーク"はせずに)打ち付けてきた。クリエーティブ面から言って優れた方法であると同時に、ビジネス面でも素晴らしい戦略だ。

キットカットの戦略は、「ブレークのお菓子と言えばこれ」という存在になること。行動指向の戦略であり、人々の生活の中に商品をはめ込んでいる。人の思考だけでなく、活動に入り込むのだ。ブレークが必要な時はキットカット、というわけだ。またこれには、キットカットを"ブレークする(割る)"という意味も込められていることは言うまでもない。なんともスマートな戦略だ。

編集=遠藤宗生

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