ビジネス

2018.05.30

シリコンバレーで目の当たりにした、40代日本人男性の「再始動」

Alexey Ulashchick / Shutterstock.com




最終日、シリコンバレーのメンターに対して選抜者20名が4分間のプレゼンテーションを行う。初回と同じフォーマットだ。最初のプレゼンテーションからどれだけ進化したのかが問われる。選抜者は2週間の体験とメンターからのインプットや仲間同士のフィードバックを存分に活かしたプレゼンテーションを行った。

プレゼンデーションの要点を格段に絞り、文字数を格段に減らし、課題点にメンターの気持ちを上手に引き込んだ上で、登壇者は自信たっぷりとメンター達の目を見据えて強い思いを伝えた。初回とは雲泥の差。メンターからも賞賛の声が多く寄せられ、昨年度の「始動」シリコンバレープログラムは感動のフィナーレを迎えたのだった。

シリコンバレーでのオジサンのReborn

中村氏にとってのターニングポイントは、地元のイベントに参加した時だったという。シリコンバレーの日系コミュニティが主催するイベントで、30秒間のバルコニーピッチが行われた。

バルコニーに立って、参加者全員に対して30秒間、自分をアピールすることができるのだ。シリコンバレーの開放感と、酔った勢いもあり、思わず挙手。当てられた中村氏は30秒間、バルコニーでありったけの自分の思いを吐露したのだ。

日本にいると、発言する前に反応を想像したり、段階を踏んで説明しようという考えが先行するのだが、中村氏は思い付くままに言葉を紡ぐことができたのだった。

バルコニーピッチが周囲にポジティブに受け入れられたこともあり、中村氏の中で大きなブレークスルーが生まれた。「もっと自由に生きれば、もっと可能性が広がる。今までの前提やルールがその可能性を奪うのだ」という確信を得ることができたという。



シリコンバレーでは、20名をまとめる学級委員長的な存在だった保理江氏にとって、一番の衝撃は、中村氏を含む7人の40代のメンバーの変化だったという。この短期間で彼らがこんなに変われるのであれば、まだ31歳の自分はもっとRebornできるはずだ、年齢を言い訳にはできない、と。

過去3年間同様、2018年度の「始動」でも、多くのReborn物語が生まれることだろう。わたしはその日が来るのをシリコンバレーで心待ちにしている。

連載:イノベーションに必要なトランスフォーメーション
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文=琴章憲

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