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2018.05.30 08:00

シリコンバレーで目の当たりにした、40代日本人男性の「再始動」

Alexey Ulashchick / Shutterstock.com


「結局、お前は何がやりたいんだ?」
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思い起こせば、2017年度の「始動」シリコンバレープログラムは大波乱の幕開けだった。

2018年1月22日、強烈な寒波の影響により、東京近郊では大雪警報が発令されていた。東京出発の当日、大雪のため成田空港で足止めをくらい、午後5時出発の予定が深夜1時を過ぎ、選抜者20名は心身ともに疲れ果て、シリコンバレーに到着。初日の予定は仕方なく全てキャンセルし、なるべく休んでもらった。

2日目と3日目の夜は、ピッチ大会と称し、4分にまとめた自らの事業案をシリコンバレーのメンターに対して発表。メンターとの質疑応答を行った。
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両日とも、プレゼンテーションが4分以内に収まった人はひとりもいなかった。日本流のプレゼンテーションはスライド内の文字が多く、説明が歪曲的。オーディエンスであるメンター達が感情移入しにくいプレゼンテーションが続いた。本場のシリコンバレーで洗練されたピッチに見慣れてきたメンターからは厳しい言葉が続く。

選抜者のひとり、ANAのデジタル・デザイン・ラボにて新規事業創出を担当する保理江裕己氏は、「結局、お前は何がやりたいんだ?」というメンターからのメッセージが心に刺さったという。

起業家であろうが、サラリーマンであろうが、新規事業を志す者の根幹は同じであるべき。それはもっと内発的なもので、揺るぎない確信、確固たるべきものだ。「始動」に参加している起業家とも深夜まで飲みながら語る。

そんな日々が続き、そこで起業家の事業への本気度の違いを知ることになった。保理江氏自身、大企業の新規事業担当者として新規事業を勉強しているという感覚でいたため、人生を掛けた起業家に圧倒されたのだ。いかに自分が守られた環境にいて、生半可な思いだったのかを痛感したという。

事業案のプレゼンテーション

1週目は、シリコンバレーのエコシステムを体感することを目的とし、スタンフォード大学の視察、スタートアップの訪問、日本人起業家の講演、大企業でのオープンイノベーションの視察、地元のイベントへの参加など体験する。

2週目は、シリコンバレーのメンターに自らアポを取り、彼らのオフィスを訪ねて、自らの事業案に対してメンタリングを受ける。それにより、事業をさまざまな角度から見直し、確度を高めていく。

こうやって2週間、自分の考えている事業と真剣に向き合い、さらに自分自身と向き合う。かと言って、日々の現業を投げ出す訳にもいかない。時差ボケの中、睡眠時間を極限に絞りながら、両立を目指す。刻々と進化する者もいれば、諦めかける者もいる。そんな仲間を励まし合いながら、年齢もバックグラウンドも異なる20名はシリコンバレーの環境で寝食を共にし、「ThinkerからDoer」になることを目指し、イノベーターとして成長していくのだ。
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文=琴章憲

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