ビジネス

2018.05.29

ストーリーを語るデザイナーたち——heyのCIデザインはいかにして生まれたか?

Coineyのデザイナー 松本隆応(左)、CIデザイナー タカヤ・オオタ(右)




オオタ:初期の段階でいかにアイデンティティを設計をするかですよね。日々の企業活動の結果によってブランドが縁取られていく。言ってしまえば、ロゴはCIの「土台」。

時代が変わったときにロゴを全く新しいものにするのではなく、それを引き継いで時代に合ったものに変えていくっていうやり方ができると思うんですよね。

10年、20年と時間が経っても、恒久的に使われているロゴになっているのかはデザイナーとしてチェックしたいポイントです。

これからのデザイナーは「対話的」になっていく

オオタ:よく日本では、デザイナーの価値が低く見積もられがちと言われています。それは客観的に実力を測る指標が、他の職種と比べて少ないからだと思うんです。

これまで、デザイナーの実力をどのように測るのかといえば、成果物の「見た目」によるところが大きかったのですが、これからの時代は見た目を「制作」するだけなら、ソフトウェアに仕事を奪われていってしまう。ロゴは特にそうで、機械が自動で制作してくれるサービスも近年、登場し始めています。

松本:見た目を制作する「デザイン」と本来のデザイナーの仕事である「思考」が、実務では切り離されいるのが問題だと思います。

そのため、一般的にスタイリングや装飾がデザインだと思われていて。経営者やビジネスサイドがデザイン思考に取り組む風潮になっているのだと思います。

オオタ:そうなんですよね。これからは、デザイナーが成果物に至るまでの「ストーリー」を言葉で伝え、共感してもらうことが必要になると思っています。



松本:デザインのプロセス自体がもっと「対話的」になっていくほうがいいかなと考えていて。オーダーに対して、どれだけデザイナーが考えても結局その答えはデザイナー自身にはなく、ユーザーや経営者が持っている。

だから、彼らが持つ答えをいかに引き出してあげるかがデザイナーの仕事。成果物を認められるかどうかではなく、もっと本質を考えるべきだと思いますね。

文=奥岡ケント 写真=小田駿一

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