「世界中で企業の評判が下がっているにもかかわらず、カナダでの評判は安定している」と語るのは、国や企業の評判を測定・管理する米コンサルティング企業、レピュテーション・インスティテュート(RI)のニッキー・マクヒュー副社長だ。2012年以降、同社はカナダで評判の良い企業50社を集めた「カナダ・レプトラック50」を毎年発表してきた。
50社の平均スコアは今年低下したものの、下げ幅は0.3ポイントと小さい。RIの国際調査では1.4ポイント、米国での調査では3ポイント低下していたことと比べれば、微々たる変化だ。
「カナダでの評判の浮き沈みは、おそらく米国ほど激しくなく安定していて、国外での出来事にあまり影響を受けない」とマクヒューは説明する。同ランキング作成のため、RIは2018年1~2月に2万7000人以上を対象に世論調査を実施。評価対象になった企業は主に、カナダの人口27%以上に認知されている会社だ。
今年はグーグルが2年連続となる首位を獲得し、カナダ人が大企業に寄せる信頼が揺らいでいないことが示された。社員のジェームズ・ダモアが多様性を巡る社内方針を批判した文書を巡る騒動などにより波乱の1年を経験した同社は、米国でのレップトラック100ランキングで順位を39低下げ、56位に転落。
しかし、カナダでの同社の評判は変わらなかった。「カナダ人はどういうわけか、テック業界の政治化の影響の多くから隔離されてきた」とマクヒュー。「米国と同じことはカナダでも起こるが、その影響は米国ほどではない」
米企業のグーグルが首位を獲得し、2~4位も外国企業のレゴ、ロレックス、任天堂が入った一方、5位にはアウトドア用品を販売するカナダ企業、マウンテン・イクイップメント・コープ(Mountain Equipment Co-op)がランクインした。昨年に建国150周年を迎えたカナダでは、「それを祝う形で、多くの国民の間にカナダの伝統への誇りが浸透し、国が直面する困難な課題に取り組むことができた」とマクヒューは分析する。