スマートホームで命を救う、英ケアテック企業が描く未来

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ソーシャルグッドなデータビジネス

現在、Alcoveは「3500万のデータポイント」を集め、最も多くの家のデータをもつイギリス企業になっているとボーウェイは語る。

アマゾンのデバイスから集めたデータはMicrosoft Azure Cloudに保管されることで、Alcoveは個人情報を安全に守っている。Azureは一般的な地方自治体がもつデータセンターよりも不正アクセスすることが難しい。集めた個人情報は匿名化され、予め許可した人々にのみ共有される。

「私たちはGDPR(EU一般データ保護規則)とデータセキュリティーについてとても真剣に考えています。GDPRによって、私たちの方針とデータ保護がはじめから十分な水準のものであることを確認することができました」とボーウェイは言う。

スマートデバイスで集められたデータでいかに生活をよりよくすることができるか、私たちはようやくわかり始めた段階にいます、と彼女は言う。「多くのデバイスが存在しますが、それらがつなぎ合わされることはありませんでした。私たちは、ソーシャルグッドのためにデータを組み合わせようとしているのです」

おねしょをした、友人の娘が訪ねて来た、家が暑い、といったことを知らせるデータによって、個別の事例に対してよりよいケアをすることが可能になる。そして、ビデオ通話用タブレットのようなデバイスがコミュニケーションを簡単にする。「私たちは、Skypeの複雑なところをすべて取り払ったのです」と、ボーウェイはAlcoveの「carephone」について説明する。「顔写真を押すだけで、愛する人と話すことができます」

Alcoveはまた、ユーザーの代わりにタクシーを予約してくれるようなコンシェルジュサービスも始めている。「私たちにとってはなんてことないかもしれませんが、こうした仕掛けが弱者の生活を根本から変えるのです」

エイジングの未来は、明るい

Alcoveは個人向けにプロダクトを販売しているほか、英国、ポーランド、フランス、ドイツ、スペインで、地方自治体、公営住宅団体、医療供給者にサービスを提供している。

また、ロンドン市長のサディク・カーンとNPO団体「SV2UK」(Silicon Valley comes to the UK)が主催するプログラムの一環として、Alcoveのソリューションをアメリカにも展開し始めている。「北米には、私たちが手がけるべき巨大なマーケットがあります」とボーウェイは言う。

Alcoveのチームは現在、人工知能(AI)をプロダクトに組み込み、どんなケアが必要かを予測できるようにしようとしている。今後6カ月の間に、AIを使った保険プロダクトを公開するつもりだ(Alcoveは現在、2つのグローバル保険会社とともに取り組んでいる)。

翻訳・編集=宮本裕人

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