「今日は撮影だからこんな格好してるけどね」。
今年1月、在日米国商工会議所(以下、ACCJ)会頭に就任したメットライフ生命の会長 社長、サシン・N・シャーのビジネスカジュアルは、すでにメットライフ社内では誰もが見慣れた姿である。金曜日になるとジーンズとスニーカーで社内を歩き回り、社員たちに気軽に声をかける。これまでのジーンズ可のカジュアルフライデーに加え、今春から「スニーカープロジェクト」を立ち上げ、月曜日から金曜日まで就業中のスニーカー着用も可能にし、自ら率先して実践する。
「飾らない性格で、フレンドリーな社長」。
社内でのサシン評である。問題があると聞けば、すぐに飛んでいく。そして、話を聞くだけでなく、必ず解決に動く。その姿は後述するが、幼少期に家族でインドから移住し、アメリカという新たなる地で成功をつかみ取ったサシンが大事にする、彼のモットーそのものだ。
インドとアメリカ、また彼が育ったイタリア人地区という、いくつもの文化のはざまで、それぞれのよきところを吸収、融合させ、時に折り合いをつけてきた少年の姿は、日本とアメリカという二国の間で奮励する、いまのACCJ会頭の姿に重なる。
ACCJが日本に創立されて70周年という節目の年に選出された会頭は、いま何を思い、どんな未来を目指すのか。自身の成功のルーツについても伺った。
─ACCJ会頭としてのミッションは?
ACCJには現在、約3500名のメンバー、そして、約1000社の企業が所属をしています。彼らの多くにとって、この日本という国は最大のマーケットです。つまり、日本の未来は、彼ら自身の成長や発展に大きな影響を与えるのです。
そこで私たちACCJは2つのことに力を入れています。一つ目は日本とアメリカの二国間関係を確実なものにすること。もう一つは、日本のビジネス環境をよりよくしていくことです。これは日本にある米系企業だけではありません。すべての企業にいえることで、具体的には、1.経済的パートナーシップ、2.デジタルエコノミー、3.ヘルスケアとリタイアメント、4.観光やスポーツ、ホスピタリティ、5.労働生産性という5つのテーマにおいて、環境の改善に努めていこうと考えています。