ビジネス

2018.05.28

チーム構築についての誤解 「エリートチーム」とは何か?

Yokosuka Museum of Art / by Getty images


例えば、あるトピックに関する結論をチームがなかなか出せない場合、私は「これに関する意思決定プロセスは何か」と尋ねる。この質問によりもたらされる気付きは以下の2つだ。

1. 意思決定プロセスがない。もしあれば、難しい問題に取り組む中で、多くの感情的な緊張を緩和できるはずだ。

2. 集団としての潜在能力を最大限利用できていない。意思決定プロセスを経ずに下された決定は、プロセスを経た場合と比べて6倍も効果が劣る。

こうした会話を持つだけで、メンバー間の真のつながりを構築し、所属意識を高め、(意思決定などの)新たな能力を築くことができる。

単に「協働」が足りないだけ?

オレンジを絞ればオレンジジュースとなる。ブドウを絞ればブドウジュースになる。個人にインセンティブを与えれば、そこで得られるのはあくまで個人であり、チームではない。これは、企業の営業部門でよく見られる現象だ。自称「チーム」だが、チームらしい活動は何もしていない。

ただし、これは営業部員が自分勝手だとか、自己中心的というわけではなく、問題なのは成功に向けた環境作りだ。つまり、職場環境が、次のいずれかの理由により、集団主義ではなく個人主義を奨励しているのだ。

まず、これまでずっとそう働いてきたから。あるいは、他の働き方を知らず、どうしたらいいのか尋ねるのが怖いから。もしチームとして機能してほしいなら、チームとしてインセンティブを与える必要がある。

全てをチームベースで行うべき?

米海軍特殊部隊「ネイビーシールズ」というエリートチームの一員としての経験は、私のチームに関する世界観を形作った。だが、全ての問題がチームベースの解決法を必要とするわけではない。チームよりもグループアプローチの方が合うこともあれば、その逆もある。

必要なのは、グループアプローチとチームアプローチのどちらが必要かを判断する方法の習得だ。こんな風に考えてみよう。

営業チームAの目的は、4人で100個の製品を販売すること。製品が全て売れれば、誰が何を何個売ろうと関係ない。一番多く売った人の歩合給が最も高額で、一番売れなかった人の歩合給が最も低い。誰も仕事を失うことはなく、報酬が異なるだけだ。他方、営業チームBも製品を100個売らなければいけないが、もし売れなければ全員が職を失う。

これが、グループとチームの違いだ。チームは運命を共にするが、グループは違う。やろうとしようとしている仕事が、個人の努力の足し算で達成できるものなのか、それとも集団的な努力のインプットを必要とするのか自問すること。

編集=遠藤宗生

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