マネー

2018.05.27

中小企業を個人M&Aし、資本家として資産形成せよ

『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (講談社+α新書)』著者 三戸政和




──「社長になる」というと、起業をイメージする人は多いと思いますが。


三戸 : それは、大企業のマネージャー層には特にお勧めできませんね。なぜならゼロイチの起業を成功させるために必要なスキルと、出来上がっているビジネスをマネジメントするスキルは全くの別物だからです。大企業の管理職は、後者は十分なスキルと経験を積んでいますが、前者はずぶの素人です。

しかも起業に成功するために必要なのは、スキルだけではありません。運、センス、したたかさ、求心力、強靭な精神力が必要です。社会人時代にベンチャーキャピタリストとして多くの起業家に投資をしてきた経験からいえば、経営の初心者が新たに会社を創って軌道に乗せるというのはとてつもなく難易度が高い。日本では起業して5年後に残っている会社は15%、10年後に残っている会社は、たったの5%しかないそうです。95%は廃業するのです。

私がお勧めしたいのは、そんな「ゼロイチの起業」より、その過酷な10年を生き残った5%の企業の社長のオーナー社長になりませんかという提案なのです。

──しかし本当に、300万円で会社が買えるのでしょうか?

三戸 : 買えますよ。300万円あれば買える会社は日本にごろごろあります。300万円どころか、1円でも買える会社はたくさんありますよ。

──それは毎年赤字だったり、将来の見通しが相当に悪い会社ではないですか。

三戸 : そんな会社を買えと勧めませんよ。従業員十数人~数十人、売上高数億円、黒字の会社でも、300万円で買える会社はあります。日本の企業の99,7%が中小企業で、約410万社あります。帝国データバンクが発表した『2017年社長分析』によれば、そのなんと3分の2にあたる66.1%が、「後継者不在」です。その割合は年々、上昇傾向にあります。親族が後を継ぎたがらないからです。

どの社長も自分の代で会社を潰したいとは思わないので、会社を引き継いでくれる人を探しているのです。この本には、そうした企業の「売り案件情報」にアクセスする方法や、具体的にどうやって会社を買ったらいいのか、企業の値決めやデューデリジェンスをどうするか、リスクをどうヘッジするかなど、私がPE(プライベート・エクイティ)ファンドマネージャーとして持っているノウハウをベースに、詳しく書いてあります。ぜひお読みください。

三戸政和◎株式会社日本創生投資 代表取締役社長。1978年兵庫県生まれ。同志社大学卒業後、2005年ソフトバンク・インベストメント(現SBIインベストメント)入社。ベンチャーキャピタリストとして日本やシンガポール、インドのファンドを担当し、ベンチャー投資や投資先にてM&A、株式上場などを行う。2011年兵庫県議会議員に当選し、行政改革を推進。2014年地元の加古川市長選挙に出馬するも落選。2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行なっている。また、事業再生支援を行う株式会社中小事業活性の代表取締役副社長を務め、コンサルティング業務も行なっている。

写真=加藤昌人

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