Debutの創業者で元アーンスト・アンド・ヤング(EY)のCharlie Taylorは、2017年のフォーブスの「30アンダー30」にも選出されている。「当社のプラットフォームは様々な指標から学生らの経歴や適性を把握している。そこには性別や人種、個人的な嗜好などの社会的バックグラウンドも含まれる」とTaylorは話す。
ただし、これらの情報が差別的な意図で用いられることはなく、ボーダフォンやロレアルなどの企業は、Debutを用いて社内のダイバーシティを高めようとしているという。
同社の創業は2年半前で、3名の従業員から始まったDebutは、今ではロンドンで30名を雇用している。これまで就職支援を行った学生は数千名に及び、売上は前年比130%で伸びているという。
競合の「WayUp」は2014年の創業で、フェイスブックやキャピタル・ワンなどの大手銀行でも使われている。WayUpはこれまで2760万ドルの資金調達を行ったと伝えられる。
Debutの主要クライアントの1社のEYは2015年に、採用プロセスで学歴を問わないことにした。同社は学歴と仕事のパフォーマンスに相関関係がないことを見出したという。
EYはDebutのアプリのデータを用いて既に300名を採用し、過去18カ月の英国における採用者の30%を占めている。掃除機メーカーの「ダイソン」も最近、Debutを用いて200名の応募者から20名を採用した。
200名中10名というと採用率は10%ということになるが、競合らの比率は5%〜10%だという。Taylorは今後、採用率をさらに上昇させたいと述べる。
マシンラーニングで「本当の能力」を分析
「採用する側からすると100名をとりたい場合に2万名から選ぶより、1000名から選ぶほうが効率的だ。応募する側もやみくもに多くの企業にあたるのではなく、自分に適した数社に応募するほうが合理的だ」
Debutは間もなくマシンラーニングの仕組みを用い、人材キュレーションを行なうシステム開発を開始する。Taylorはクライアント企業数を年内に110社まで伸ばしたいと話した。将来的に就職希望者らはアプリを開くだけで、数千名のデータを元にパーソナライズされた情報が入手可能になり、おすすめの数社が表示されるようになるという。
「アプリで承認ボタンを押したらすぐに面接のアポがとれる状態を目指したい」とTaylorは話す。
EYの事例でも分かるように「学歴は既にコモディティ化している」というのが彼の持論だ。「我々は学歴を個人の属性から切り離し、行動履歴や個人の本当の能力を指標とするデータベースを築きたい」
Debutの直近の資金調達ラウンドは英国の起業家のJames Caanや、求人サイト「Indeed」の創業者のポール・フォスターらが主導した。