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ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座


シャンパーニュの基礎となる「ベースワイン」とは

この時期にシャンパーニュ地方を訪問することで、泡が作られる前の、シャンパーニュのベースワイン(仏語ではヴァン・クレール/Vins Clairsと呼ばれる)が試飲できることも魅力だ。「Terres et Vins」の創設者であるラファエル・ベレッシュ(Raphael Bérêche)さんによると、シャンパーニュの「テロワール」を表現するベースワインを試飲してもらうことも、シャンパーニュ・ウィークの醍醐味の一つだと言う。

シャンパーニュは、まず、ベースとなるスティル・ワインを作ったあと、そのワインを糖分と酵母とともに瓶に詰め、密封する。そして、瓶内で起こる2回目の発酵のときに発生する二酸化炭素を閉じ込めることにより、ワインに泡が生まれるのだ。

その後、働きを終えた酵母の澱とともに長期間の熟成を経ることで、ワインに、焼いたパン、酵母、ブリオッシュといった独特の香りや味わいが加わる。

そのため、泡や追加の味わいがない状態のベースワインを試飲できる機会は、瓶詰め前のこの時期に限られる。その年のワインの特徴や、村ごとの特性(シャンパーニュ地方には319もの村がある)、さらに細分化された区画ごとのワインの個性を知るには、ベースワインの試飲と理解が不可欠であるし、面白い。

たとえば、大手シャンパーニュ・メゾンのルイ・ロデレール(Louis Roederer)では、410の自社畑の区画から収穫したブドウを、それぞれの個性にあわせて450のタンクまたは大樽で、別々に醸造し、ベースワインを作る。去年に引き続き、今年も、それらのベースワインのうち、24種類を試飲する機会があり、シャンパーニュの多様な個性や年ごとの特徴を理解する助けになった。

ルイ・ロデレールは、プレスティージュ・キュべの「クリスタル」が有名な、華やかなイメージのメゾンだが、醸造長のリーダーシップのもと、品質に徹底的にこだわってシャンパーニュを作っている。また、自社畑のオーガニック栽培やビオディナミ栽培への転換をすすめるなど、栽培面においても、シャンパーニュを牽引する生産者である。


ルイ・ロデレールの醸造責任者のジャン・バティスト・レカイヨン(Jean-Baptiste Lécaillon)さんと、ピノ・ノワールとシャルドネのベースワインの数々。

今回の春の祭典の一週間では、こういった職人気質の作り手たちの熱意に触れることで、シャンパーニュの奥深い世界を見ることができ、その魅力を再確認することができた。

島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
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文・写真=島 悠里

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