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I write about the future of mobility and evolution of transportation.

Tesla Model 3 (Andy Cross / by Getty images)

テスラが「モデル3」の予約者から予約金1000ドルを受け取り始めてから2年が経つが、同社が3万5000ドル版を納品できるかは依然として不透明だ。イーロン・マスクCEOは、大衆向けEVに対する想いを長年に渡って語ってきた。しかし、3万5000ドル版のリリースは、テスラの財務状況に致命的なダメージを与えかねない。

マスクはこの数週間、カリフォルニア州フリーモントにあるテスラの工場で寝泊まりをし、組み立てラインの改善に取り組んできた。そのマスクは先週末、モデル3のハイエンド版を選ぶことのメリットについてツイートした。ハイエンド版は全輪駆動で、価格は7万8000ドルもする。テスラは、モデル3の航続距離が長いバージョンを既に発売しているが、価格はオプションを含めると5万ドルを超える。

マスクはツイートの中で次のように述べている。「生産においてはまず目標台数をクリアし、次に効率を高めて目標コストを達成しなければならない。3万5000ドル版を直ちに出荷することは、テスラにとって損失を出して死ぬことを意味する。会社を存続させ、3万5000ドル版を無事出荷するには週産5000台を達成してから3〜5カ月を待たなければならない」

テスラは、2四半期連続で過去最高の赤字を出している。同社が1台10万ドル以上する高級EVを販売するニッチメーカーから、大衆車メーカーに転換する体制が整っていなかったことが改めて浮き彫りになっている。最良のシナリオでも3万5000ドル版の納品は年末になり、最悪の場合は生産中止に追い込まれる可能性もある。

「Kelley Blue Book」のアナリストのRebecca Lindlandはモデル3を予約したものの、度重なる生産遅延を受けてキャンセルしたという。「3万5000ドル版が本当に発売されるかは不明だ。テスラは顧客ニーズがなかったという理由で生産をキャンセルする可能性がある」と彼女は話す。

テスラは、過去にも低需要を理由にモデルSの基本装備モデルを突然廃止したことがある(モデルSの基本装備モデルの価格は5万7400ドルで、補助金を計算に入れると4万9900ドルだった)。マスクは、「秘密のマスタープラン」の中でモデルSの5万ドル版を宣伝していただけに、この決断は驚きをもって受け止められた。

編集=上田裕資

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