同様の現象は「関連キーワード」などのユーザー補助機能でも発生している。
この問題の背景にはグーグルが人々の検索履歴から予測されるキーワードを導き出し、それを表示していることがあげられる。匿名性が守られるべき被害者の名前でも、十分な検索履歴があればグーグルのアルゴリズムがそれをサジェストしてしまうのだ。
米国ではメディアが犯罪被害者の名前を掲載しない場合もあるが、レイプ被害者の名前の掲載を禁ずる法律はない。しかし、多くの国ではこれは違法となっている。英紙「タイムズ」はグーグルのオートコンプリートがレイプ被害者の名前をサジェストした例を報じている。
英国では性犯罪被害者や、18歳未満の刑事被告人などは匿名性(名前を公表されない権利)が保障されている。
タイムズによると、グーグル検索に犯罪容疑者の名前を入力した場合、被害者の名前がオートコンプリートで表示されたという。また、犯罪事件に関して検索した場合に、本来は匿名性が保たれるべき被告人の名前やその出身地が表示されるケースもあった。
英国政府の担当者はタイムズの取材に対し、「グーグルは英国の法律に基づいたサービス運用を行なわなければならない。サーチエンジンの仕様を改めるべきだ」と述べている。
グーグルはかつて、検索のサジェストはユーザーの検索履歴に基いており、責められるべきはグーグルではなくユーザーだと主張したこともあった。しかし、この理屈を正当化するのは今となっては難しいだろう。