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2018.05.24

米国のワイン業界がX世代に狙いを定めるべき理由

Mikhail_Kayl / Shutterstock.com


また、報告書はワイナリーなどが取るべき具体的な行動についても、いくつかの案を示している。X世代はアナログからデジタルへと変化する世界の中で育った。印刷広告とネット広告の双方が影響を及ぼし得る世代だ。また、この世代は「家族、伝統、安心・安全、人生の経験、健康とフィットネス」などに関する印刷広告に関心を示す傾向があるという。ロイヤルティプログラムや値引きクーポンに関心が高いのもX世代だ。

報告書が結論として示していることの一つは、ワイナリーなどの販売側は特に、X世代については直接販売(D2C、Direct to Consumers)モデルを検討すべきだということだ。そして、4つの段階を追って「D2C」モデルを確立していくことを勧めている。

第一に、顧客データベースを分析し、X世代が占める割合を明らかにすること。そして、購入の傾向やワインクラブのイベントへの参加の有無などについても調査すること。

第二に、マーケティングは伝統や家族、そして「信頼性」に焦点を絞って実行すること(「信頼性」が具体的に示すところは明示されていない)。プロモーションイベントを開催し、顧客やその友人たちを招くのも効果的だろう。ロイヤルティプログラムに関心が高いことから、ワイナリーの会員クラブも重視するべきだ。

第三に、この世代の考え方には懐疑的な傾向があることを理解しておく必要がある。ワインに関する知識を深めてもらうための経験の提供を重視すべきだ。そして最後に、メールでの顧客とのやり取りや、ソーシャルメディアの活用も重要だ。

一方、X世代よりも若く、飲酒年齢に達し始めたZ世代についても忘れてはならない。ワイン業界の一部の関係者が指摘するとおり、合法化された嗜好(しこう)用大麻がワインの売り上げを脅かす可能性があり、そうした社会的変化を経験していくのがZ世代だとすれば、彼らの世代ではなく親の世代に焦点を当てることは、近視眼的だと言える可能性もある。

編集=木内涼子

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