それに伴って、バーチャルYouTuber事業に取り組むプレイヤーも増加。Activ8、いちから、DUOなどの企業が台頭してきている。そうした中、バーチャルYouTuber事業に熱視線を送っているのが、グリーだ。
同社は4月5日、100%出資の子会社Wright Flyer Live Entertainmentの設立を発表。バーチャルYouTuber市場に参入することを決定した。
バーチャルYouTuberを発掘・育成・マネジメントし、動画番組を企画・制作・配信するプロダクション事業を手がけるほか、バーチャルYouTuberに関連するクリエイターやスタートアップ企業へ投資を行っていく、「VTuberファンド」プロジェクトを開始。
今後1〜2年で総額100億円規模の事業およびコンテンツ投資を実施していくという。グリーはバーチャルYouTuber事業のどこに可能性を感じているのか。Wright Flyer Live Entertainmentの荒木英士に話を伺った。
グリーが培ってきたノウハウをすべて活かせると思った
──バーチャルYouTuber事業に参入することにした経緯は何だったのでしょうか?
ここ数年で、アニメ市場が急速に盛り上がっている、と感じたからです。
以前、私はアメリカでゲームスタジオの立ち上げや現地チームと共にゲーム制作を行なっていました。そこで感じたのは、世界で競争力をもった日本のコンテンツ産業は非常に少ないということ。アメリカが作るゲームを真似したところで、資本力やマーケティング能力、グローバル規模での外注ネットワークなどをフル活用する彼らに比べると不利だし、日本のクリエイターの強みを活かせないわけです。
ただ唯一、海外と比べて日本が圧倒的なアドバンテージを持つのがアニメ市場でした。グリーで開発したアニメゲームの海外版を配信したり、アニメ系のエキスポやカンファレンスを海外で開催したりする中で、アニメ市場の人気や成長を肌で感じました。
事実、日本のアニメ市場はここ3〜4年で倍成長して、現在の市場規模は2兆円にもなっています。
──アニメ市場はビジネスチャンスが大きい、と。
はい。その状況を体感して、アニメをモチーフとしたエンタメ領域を展開しようと考えていました。そしてバーチャルYouTuberの存在を知ったとき、「これは大きな可能性が眠っている」と思ったんです。
グリーは、これまでゲーム事業やVR事業で映像やコンテンツ作りのノウハウを培い、大手IPホルダーや声優事務所とも繋ってきました。今までやってきたことがバーチャルYouTuber事業につながる。そう思いました。