グリーが100億円をかけて挑む、「バーチャルYouTuber」事業の可能性

Wright Flyer Live Entertainment 荒木英士


リアルとバーチャルが融合する世界へ

現代社会はインターネット世界での活動の比重が上がり続けています。物理的に声が届く、目に見える範囲でしか生活できない肉体の自分、それとは別にインターネット上で活動したり、人とコミュニケーションできたりする自分。この2つは少しずつ融合していくと考えていて。

──どういうことでしょうか?

それこそ、いまインタビューを受けていますが、数年後、AR(拡張現実)グラスをかければ同じ部屋で取材する必要はなくなるでしょう。会社と家で、お互いの姿を見ることができる。それがスタンダードになると思います。

そのとき、僕は僕の姿である必要はありません。物理的な自分と電子上の自分、リアルとバーチャル。2つの境界がなくなり、全てが自分になる。

その世界の先鞭をつけてくれているのがバーチャルYouTuberです。

実際、いまバーチャルYouTuberをやっている人は、キャラクターのことをCGだと思ってない。また、バーチャルYouTuberを見ている視聴者もキャラクターと中の人を分けて考えていない。例えばバーチャルYouTuberが声優デビューをしたとしましょう。

そのとき、視聴者は「バーチャルYouTuberの中の人が声優をしている」という認識ではなく、「あのバーチャルYouTuberが声優デビューしたのだ」と思っている。

バーチャルYouTuberをひとつの人格として捉えているのです。

──確かに、すでに1人のキャラクターとして認識していますね。

こういう世界が進んでいくと思うと、ワクワクしますね。物理的な世界と電子的な世界が融合して、それらを区別する必要のない世界が見え始めていると感じていて。バーチャルYouTuber事業を通して、そういった世界の実現を推し進めていきたいです。



また、バーチャルYouTuber事業はグルーバルでも通用すると思います。キャラクタービジネスのベースとなるアニメはすでに海外で市場が出来上がっており、人気を集めているアニメ系のフェスや、アニメ系の配信サイトが存在します。それに、既存のバーチャルYouTuberの視聴者層にも多くの海外ユーザーがいます。国内のみならず海外にも、リアルとバーチャルが融合する世界を進めていきたいと思います。

文=田中一成 写真=小田駿一

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