グリーが100億円をかけて挑む、「バーチャルYouTuber」事業の可能性

Wright Flyer Live Entertainment 荒木英士




アニメの主人公がバーチャルYouTuberになる


──言われてみれば、確かにすべてがつながります。

スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学のスピーチで発した「コネクティング・ドッツ」ではないですが、点と点がつながり、線になった感覚ですね。

直近の事業の動きとしては、画像投稿サイト「pixiv(ピクシブ)」とバイドゥが運営するボイスアプリ「LisPon(リスポン)」と共同オーディションを開催しています。

これはイラストレーターや声優などのクリエイターを支援し、未来のバーチャルYouTuberをデビューさせるためのオーディションです。クリエイター参加型のオーディションで才能を発掘し、新しいタレントをプロデュースしていけたら、と思っています。

また、アニメやゲームの版権を持つ会社と連携し、彼らが所有しているキャラクターをバーチャルYouTuberにできるように話し合いを重ねているところです。

──好きなキャラクターがバーチャルYouTuberになる可能性があるということでしょうか?

そうです。この取り組みとVR(仮想現実)やAR(拡張現実)が融合すれば、好きなキャラクターに実際に会えるようになるでしょう。例えば、ゲームの新作発表ではキャラクターの声優を呼びますが、本当はゲームのキャラクターが出演してくれた方がファンは喜ぶと思っていて。

もちろん、声優好きの人もいるでしょうが、わたしは純粋にキャラクターが好きな人もかなりの割合でいると思っています。最近では、漫画やアニメ、ゲームなどを原作・原案とした舞台「2.5次元ミュージカル」もありますが、キャラクターの声優の代わりとして、ARとバーチャルYouTuberを掛け合わせて、本物のキャラクターを舞台上に出現させることも実現可能になっています。キャラクターが歌って踊る、ということが実現するのです。



──夢がある話です。ビジネス的な可能性でいえば、どんなことが考えられますか?

今のところ、人間ができることはほとんど出来ると思います。番組やイベントへのキャスティング、ライブ配信系プラットフォームや広告動画への出演もできるでしょう。

そしてここからがバーチャルYouTuber独自の可能性で、グッズになったり、ゲーム内に出演したりできるのです。2017年末のコミックマーケットで発売されたバーチャルYouTube関連のグッズは、一瞬で売り切れました。グッズとしての需要も非常に高い。

また今後、バーチャルYouTuberをゲーム上に出演させることもできるでしょう。それが実現すれば、ゲーム実況のスタイルも変わると思います。今の実況は「YouTuberの画」と「プレイ中のゲームの画」がセパレートで映される。そうではなくて、戦うキャラクターがバーチャルYouTuberになれば、コンテンツとプレイする人の隔たりがなくなります。新しいエンターテイメントの形が誕生していくでしょう。
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文=田中一成 写真=小田駿一

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