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2018.05.26

ロンドン発のフリマアプリ「Depop」を成功させた3つの哲学

courtesy of depop

既製品の洋服を買う時代は終わった。見るのは「Poshmark」「TheRealReal」「ThredUp」といった、アメリカで成長中のフリマアプリだけでいい。

しかし、世界で最も若く、最もクールで、最も起業家精神あふれる900万人の買い物客を惹きつけているのはイギリス拠点の会社だと、2016年にDepop CEOに就任したマリア・ラガは言う。

現在、そのイギリス拠点の会社、Depopの80%のユーザーは25歳以下である。ユーザーたちは2017年に2億3000万ドル分の服を売り、2018年にはその金額は4億6000万ドルになるという。なかには、ひと月で1万ドル以上を稼ぐユーザーもいる。

なぜ若者たちは、インスタグラムにも似たDepopを選ぶのだろうか? 「Depopは、彼らが直面する3つの問題を解決しているからです」とラガは語る。彼らはユニークでありたい。友達同士で買い物をしたい。そして、評判や人気を失うことなく環境にいいことをしたいと思っているのだと。

ユニークであれ!

Depopの最大のミッションは、Eコーマスと目抜き通りの“単調さ”に立ち向かうことだろう。買い物客にとってはどちらにおいても、自分自身を「個人」として見せる(あるいは感じる)ことは難しい。

「ファストファッションは、ファッションを『ユニークでないもの』にします。しかし私たちのユーザーは、着るものを通して自分を表現したいと思っているのです」とラガは言う。

Depopでは多くのブランドが売られているが、トレンドに敏感なユーザーたちは独自のスタイルをもつ商品によく投資をしている(エッジのきいたポップカルチャーマガジン『PIG』の創業者がはじめたビジネスで、ほかに何を期待するだろう?)。

Depopは、自らのニッチな嗜好にあったプロダクトを仕入れ、スタイリングするような「起業家精神のある売り手」をサポートすることで、プラットフォームのカルチャーをつくっている。たとえば「Internet Girl」という名の売り手は、90年代の洋服を販売することで高い評判を得ている。

ユーザーはコミュニティを求めている

Depopがもつインスタグラムのようなソーシャル機能は、コミュニティ感覚をも育んでいる。それはメインストリームとなっている「非人間的」な大量消費主義にはないものだと、ラガは言う。「Depopには人間味があります。ソーシャルなやりとりが、サービスの核になっているからです」と彼女は説明する。

オフラインの場でのミートアップも、Depopユーザーを束ねるのを助けている。たとえば 「Community Leadership Programme」では、トップセラーたちがミートアップやワークショップを通してほかのユーザーたちにアドバイスを行っている。またDepopは今年、ロサンゼルスにリアルな場もオープンした。

「(こうした場で)お金のやり取りは行いません。それが彼らのモチベーションではないからです」。ミートアップについてラガは言う。「彼らをモチベートするのは、Depopのストーリーの一部になることなのです」

ラガの次なるプランは、ニューヨークに新しいスペースをつくることだ。ロンドンも候補地になっているという。「私たちはたくさんのイベントを開き、アクティブなコミュニティをもっています。彼らが集まれる場所をつくらない手はないでしょう」
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翻訳・編集=宮本裕人

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