自動運転普及で「廃墟となる駐車場」と未来の都市デザイン

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自動運転時代を見据えたビル設計

良い例が、Genslerが数年前に設計したシンシナティにある多目的施設「84.51° Centre」だ。この建物には地上駐車スペースが3フロアあるが、外からは駐車場だとわからないよう、外面のデザインを統一している。また、床面は平らで天井が高いため、将来駐車場の需要が減れば、オフィスや店舗に転換することができる。

Genslerは、ハリウッドのサンセット大通りにある「Epic」も手掛けているが、この施設は車の送迎エリアが屋内にある。デベロッパーの宣伝資料には、「ライドシェアや自動運転車による送迎用」と記載されている。

「現在のロサンゼルスの建物は、人々が駐車場から入ることを想定して作られており、ロビーは人々が通過する場所に過ぎない。しかし、自動運転車時代の建物は前面に大きな送迎エリアがあり、ロビーは建物を出入りする人にとって重要なポータルとなるだろう」とCohenは語る。

転換可能な駐車場は、通常の駐車場に比べて建設コストが高い。「天井が高いため15〜20%ほど費用が高くなるが、必要に応じてすぐオフィスに転用できることを考えれば理に適っている」とCohenは話す。

「自動運転車の普及を見据えて建物を設計する動きは1年ほど前に始まったばかりだが、この半年でかなり広まっている」とCohenは述べている。

自動運転車はEVであることが予想されるため、将来的には都市部のガソリンステーションの需要は減少し、その多くが再開発の対象になるだろう。パーキングメーターのある路上の駐車スペースも同様だ。

「跡地に憩いの空間やカフェを作ったり、緑化を図って人々のために有効活用することができる。これは建築家やデザイナー、都市設計家にとって大きなチャンスだ」とCohenは話す。

編集=上田裕資

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