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田坂広志の「深き思索、静かな気づき」

Panchenko Vladimir / Shutterstock.com

一昨年、東京の税理士会から、次のような講演依頼を受け、驚きを覚えるとともに、感銘を受けた。

「これからやってくる人工知能革命によって、我々の業界の仕事は、10年以内に、半分が不要になると思っています。そのときに備え、いま、我々税理士が、どのような能力を身につけておかなければならないか、教えて頂きたい」

筆者に対する講演依頼は、未来予測、情報革命、知識社会、企業経営、働き方、生き方など、様々なテーマでの依頼があるが、これほど切実な危機意識で講演を依頼してくる例は、決して多くない。それが、驚きを覚えた理由である。

そして、感銘を受けた理由は、この税理士会が、人工知能革命の脅威を、いち早く予見し、その具体的な対応策を考えていることであった。

いま、世の中では、様々な変化が急激に起こり、その結果、短期間に、一つの産業や市場、業界や事業、職種や仕事が消滅することなど日常茶飯になっているが、その変化の中で淘汰されてしまう企業や人材は、根拠の無い楽観論に浸り、その変化を脅威と思わず、危機感を持たない企業や人材である。

その意味で、強い危機感を持って講演依頼をしてきた、この税理士会の姿勢には、感銘を受けた。

たしかに、その通り。これから10年以内に、税理士や会計士だけでなく、弁護士や司法書士も含め、いわゆる「士(サムライ)職業」の仕事の半分は、人工知能に置き換わっていくだろう。

いや、それは「士職業」だけではない。企業や官庁内の仕事であっても、「知識修得力」と「論理思考力」で行える仕事を担う「知的職業」は、その大半が、人工知能によって置き換わっていく。専門的知識と論理的判断では、人工知能は人間に比べ、圧倒的に優れた力を発揮するからだ。

そして、この士職業と知的職業の危機は、そのまま、現在の「学歴社会」の崩壊を意味している。

なぜなら、現行の偏差値教育に基づく学歴社会とは、知識修得力と論理思考力の高い人間が評価され、「高学歴」になっていく社会だからである。

文=田坂広志

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