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AI通信「こんなとこにも人工知能」

Dabarti CGI / shutterstock

グーグル、インテル、アマゾン、マイクロソフト、IBM、サムスン電子などで活動する人工知能(AI)専門家、コンピュータ科学を専攻する学者らが、学術雑誌ネイチャー関連の新雑誌「ネイチャー・マシンインテリジェンス」を相手取りボイコットを行っている。

そしてその“連帯の輪”は、さらに拡大していきそうな気配にある。ボイコットに署名した科学者らは、5月はじめに約2000人とされていたが、現在は約3000人にも迫る勢いだと海外各紙が詳細を伝えている。

研究者たちは、版元であるシュプリンガー・ネイチャー社が、AI関連論文に対する自由なアクセスを許可しない場合、来年1月から出版される同誌への論文投稿に加え、論文審査および編集への参加を拒否するというのだ。つまり、論文を読むこと、また掲載に対する有料化に反対するというわけだ。

署名に参加した専門家らは、「マシンラーニング(機械学習)は共同体的精神に立脚し、自由で開放された環境で研究されてきた」とし、論文へのアクセスを制限し、論文掲載費を要求する行為は、今後、同分野の研究でどのような役割も果たさず、新しいジャーナル誌も時代に逆行するだろうと主張している。

今回のボイコット署名は、昨年11月に出版社側がロボットとAIの研究を扱う新しい学術誌を創刊すると発表した直後に始まった。アルファ碁で有名なグーグル・ディープマインドの研究者を含む、グーグル本社および海外支社の研究者100人もボイコットに賛同の意を示したという。

AI研究の分野では、データとソースコードが公開されることで、新しい技術が開発されるという世界的な潮流がある。 例えば、ある科学者が開発したAIアルゴリズムに不備があった場合、他の専門家がこれを指摘したり、アイデアを共有することが普通になっている。そのような状況で、購読料を出す機関および科学者だけに論文を公開するとする出版社の方針は、人工知能の発展を妨げるという指摘だ。

研究者たちは、有料誌に対する不買運動を繰り広げる一方、購読料がかからず、誰でも論文にアクセスできるオープンアクセスサイトに目を向け始めているという。2001年には、学術誌「マシンラーニングジャーナル」の編集委員全員がボイコットし、無料で論文にアクセスできる「マシンラーニング研究ジャーナル」(JMLR)を出版したことあった。

なお、今回のボイコットに署名した韓国のAI・ロボット研究者のひとりは、メディア取材に対して次のように答えている。

「伝統的な学術誌の場合、数人の評価者と学術誌側の視点に基づいて論文掲載が決定するが、オープンアクセス方式は当該分野の広範な専門家たちの評価を受けることができるという点で公正な検証が可能だ」

ボイコットを牽引するオレゴン州立大学のThomas Dietterich教授は、急速に発展し、大きなメリット・デメリットを持つであろうAIの可能性を考慮すると、開放的な風土が必要であり、出版社が金銭の壁の後ろに研究論文を隠匿すれば、より多くの科学者たちの検証が困難になるだろうとしている。

なお、シュプリンガー・ネイチャー社は、公式声明を通じて現在のところ同誌の出版計画を撤回する考えはないとしている。

文=河鐘基

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