キャンベルスープのデニス・モリソンCEOも、ピチャイと同じく変化を加速させる意志が評価され、レプトラックスコア79.7を獲得してトップ10に入った。キャンベルは今年、RIがまとめた「米国で評判の良い企業ランキング」で1位を獲得しており、これにはモリソンが大きく貢献している。
モリソンは2011年にCEOに就任して以来、飢餓撲滅プロジェクトやGMO(遺伝子組換え作物)表示の推進といった取り組みを通じ、約150年の歴史を誇る同社を社会的に責任のあるブランドへと変革してきた。
また彼女は、2017年8月にシャーロッツビルで白人至上主義者らが開いた集会で起きた衝突でのトランプ大統領の対応を受け、大統領助言機関の製造業評議会を辞任するなど強力なメッセージを発信し、キャンベルの価値観を明示してきた。モリソンは社内で女性従業員のエンパワーメントを優先事項とし、女性に注力した取り組みを始めている。ランキングのトップ10に入った女性は、モリソンだけだ。
先日、任天堂の社長を退くことが発表された君島達己は、厳しい時期を乗り越えた経営手腕が評価され80.9のスコアを獲得。君島が同社のトップに任命されたのは2015年、岩田聡前社長の急逝を受けてのことだった。「大乱闘スマッシュブラザーズ」などの人気ゲームを作り上げたことを評価され、愛されていた岩田が去った後、君島が埋めるべき空白は大きかった。
彼がまず取り組んだのは、破滅的な結果になりかねない同社の再編だった。しかし彼は、会社を団結させることに注力し、それを従業員に伝え、称賛を集めた。「コミュニケーションを取らないCEOは不利な立場に置かれる。心の底から話す人は透明性があるとみられ、偽りのない対話を構築できる」とハーングリフィスは語る。
君島は、前任者の功績を守ることに熱心に取り組んだことで、従業員の支持を得た。君島のリーダーシップの下、同社はモバイルゲームに参入。米ナイアンティックと共同で2016年7月に「ポケモンGO」を発売、2017年2月には「ファイアーエムブレム ヒーローズ」を発売し、大きな利益を生んだ。
2017年3月に発売したニンテンドースイッチは、最初の10カ月間に米国だけでも480万台を販売し、米国のゲーム機史上最速の売り上げを記録した。君島の退任は6月に予定されているが、彼は会社を何よりも優先したCEOとして記憶に残るだろう。ハーングリフィスは「君島は、任天堂の従業員であることの意味を体現して見せた」と述べた。