「響17年」は、収集家や愛好家にも高く評価されているウイスキーだ。米俳優ビル・マーレイが同製品のCMに登場するハリウッド俳優を演じた映画、「ロスト・イン・トランスレーション」により、世界的に知られるものとなった。
日本のウイスキー業界は、危機に直面する中で苦闘している。こうした現状をもたらしたのは、何だろうか。そして、それでも日本のウイスキーの将来が非常に楽観的に見られているのは、なぜだろうか。いくつかの点について、考えてみたい。
1. 日本産ウイスキーが「足りない」
日本のウイスキー産業の主な問題は、供給が需要に追いつかないことにある。この状況をもたらしたのは、1980年代の需要の低下とそれに伴う生産の縮小だ。
サントリーホールディングスの新浪剛史社長は2016年、国内の蒸留所は急速に生産を拡大しているが、在庫を復活させるにはおよそ10年がかかるとの見通しを示した。日本産ウイスキーは熟成年数の長いものを中心に、価格の上昇(さらには最高値の更新)が続くと見込まれる。
サントリーは2015年に「響12年」の販売を終了。ニッカウヰスキーの「余市」や「宮城峡」など、熟成年数の長いその他のウイスキーの多くも販売中止となった。そうした中でこれらの代替となっているのが、熟成年数がより短いウイスキーだ。これは、ウイスキーの選択に"地雷原"を作り出している。おいしいものもあれば、標準以下で値段に見合わないものもある。