子どもの「ビッグ・ファイブ」因子に家庭での教育は影響しない

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体験や知識という「きっかけ」を与える

遺伝と非共有環境によって性格が決定づけられるということであれば、親にできることは何もないということなのだろうか。

毎日素振りを1000回やっている少年が、全員プロ野球選手になれるかといえば、けっしてそうではない。しかし、いくら才能があっても、野球をしていなければ、プロ野球選手にはなれない。また、才能があって野球をしていても、大きな心配事を抱えていれば練習に身が入らず、成果を得ることはできないだろう。

つまり、親が関わる共有環境は、子どもの可能性を育むベッドを整えるということでもある。家庭は、いつでも帰ることのできる子どもの居場所であり、常に損得勘定なしで子どもにとっての最善を考える安全地帯であり、人を愛することを学ぶ場であり、子どもたちが最初に生きる社会である。そして親は、子どもにとって、誰よりも身近で無条件に信頼できる存在なのだ。

だからこそ、親は子どもの性格をよく見つめながら、さまざまな体験や知識という「きっかけ」を与えることができる。それによって、子ども自身が新しい扉を開き、眠っていた性格が覚醒することもあるだろう。また、親が自らの経験や考えに基づいて、子どもに何が適しているのか、本質的な性格が表出するチャンスが失われていないかなど、子どもの伸び代を見つける手助けはできる。

言い換えれば、私たち親にだからこそ、できることがある。そうであれば、私たち親は、絶対の愛に自信をもち、子どもを思いきり抱きしめながら、一緒に未来を切り拓く。それでいいのではないだろうか。

文=林久美子

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