ベルルッティから漂う、センスの良い「エロス」の艶感

靴のモデルは「スカーズ」。レザーのブリーフケースのモデル名は「アンジュール」。靴¥274,000、バッグ¥386,000(ともにベルルッティ/ベルルッティ・インフォメーション・デスク 0120-203-718)


小暮:まさに“メゾン”ですね。その歴史からさまざまなエピソードがあるのは当たり前なんですが、常に革新的な要素をもっているのもこのメゾンの強み。靴のアッパーにピアッシングやタトゥを入れるなんて、普通のブランドではありえない。「パティーヌ」の色も、油絵を描くように黄色や紫などの色を何層にも塗り重ねます。そういった独創性もまたこのブランドを唯一無二のものにしている理由です。

森岡:ベルルッティを身に着けることは、フランスの文化=カルチャーを味わうということに等しいんです。

小暮:昔、アッパークラスの機上で、外国人男性の座席の横に、ベルルッティの「アンディ」が無造作に脱ぎ捨てられているのを目にしたことがあります。ウォーホルがベルルッティに注文した靴です。ただ脱ぎ捨ててあっただけなんですが、美しい。まるでファッション写真。見惚れてしまいました。

森岡:確かにこの靴は脱いでもサマになります。靴好きは、この靴を見ると、脱いでもっと見せてと思うはず。デザインやディテール、それに革とか、すべてが気になる。カジュアルな靴ならばまだしも、ハイブランドのドレスシューズでこれをやる大胆さ。そこに大きな価値がある。

小暮:このバッグも存在感がありますね。単なるレザーバッグとは別のベクトルにあると断言できます。

森岡:いま流に言えば、十分「エロい」「色っぽい」ですよ。でもセンスのよい「エロス」ですね。バッグでそれを感じさせるものって、ほかにはないと思いますよ。

小暮:さらに言えば、イタリアが発する「エロス」とはまったく違う。それがフランスのもつファッションの文化や歴史。とてもかないません。


森岡 弘(左)◎『メンズクラブ』にてファッションエディターの修業を積んだ後、1996年に独立。株式会社グローブを設立し、広告、雑誌、タレント、文化人、政治家、実業家などのスタイリングを行う。ファッションを中心に活躍の場を広げ現在に至る。

小暮昌弘(右)◎1957年生まれ。埼玉県出身。法政大学卒業。82年、株式会社婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。83年から『メンズクラブ』編集部へ。2006年から07年まで『メンズクラブ』編集長。09年よりフリーランスの編集者に。

photograph by Masahiro Okamura text by Masahiro Kogure directed by Hiroshi Morioka illustration by Bernd Schi f ferdecker edit by Akio Takashiro

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