ベルルッティから漂う、センスの良い「エロス」の艶感

靴のモデルは「スカーズ」。レザーのブリーフケースのモデル名は「アンジュール」。靴¥274,000、バッグ¥386,000(ともにベルルッティ/ベルルッティ・インフォメーション・デスク 0120-203-718)

持ち物にはその人の品格が出る。良いものには理由があるのだ。

ファッションディレクターの森岡 弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る連載。第14回は、ベルルッティの靴とバッグをピックアップ。


森岡 弘(以下、森岡):どうですか、この靴。フランスのベルルッティの名靴で、「靴の宝石」と呼ばれています。このベルルッティのバッグも靴と同じ革が使われていて、艶感が本当にいいですね。すごい人気の靴とバッグです。

小暮昌弘(以下、小暮):1895年創業のフランスのメゾンですね。森岡さんが魅せられた素材は「ヴェネチアレザー」と呼ばれるメゾンが独自に開発した素材で、ベルルッティだけが使うことが許された門外不出の革です。何度も色を重ね塗りして完成させる「パティーヌ」の独特の艶感が素晴らしい。

森岡:この革は着こなしにちょっとした色合いや主張を与えてくれます。

小暮:確かにそうですね。靴好きならば、この靴を一目見ただけでベルルッティだとわかりますし、バッグならばなおさら。

森岡:ビジネスシーンではスーツで主張の強過ぎるものを着るわけにはいきませんが、靴やバッグならばこのくらいの主張は許されます。ベルルッティの製品にはいい意味での“毒気”や“面白さ”があります。それに選ぶモデルによってはもっと着こなしになじむアイテムもありますからね。

小暮:この靴もサイドに「スクリット」が施されていますが、正面から見ると、シンプルなホールカットの一枚革ですから、エレガントさも漂う。

森岡:例えばですよ。スーツに変な時計を身に着けて大失敗してしまう人っているじゃないですか。でも全身を正統的にまとめて、靴だけをこうしたモデルを合わせている人は、嫌な気はしませんし、「おおっ」と思わせることができますね。予定調和で終わるのも着こなしの方法のひとつですが、面白みが足りないなと思ったら、時にはドレスコードから少し踏み出してみる、あるいは掟破りをすることも必要です。そうしたチャレンジの際に、ベルルッティは確実に選択肢のひとつになると思います。昔から服好きな伊達男たちに愛されてきたストーリーもありますし……。

小暮:以前、4代目オルガ・ベルルッティに取材したときに、イヴ・サンローランがアンディ・ウォーホルを連れてきて、ローファーをあつらえたという話に感動しました。ウォーホル以外にもジャン・コクトー、エディット・ピアフなどに愛されたメゾン。

森岡:ベルルッティ好きが集まり、シャンパンで靴を磨くという有名なイベントがあるでしょう。なんとラグジュアリーなんでしょう!
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photograph by Masahiro Okamura text by Masahiro Kogure directed by Hiroshi Morioka illustration by Bernd Schi f ferdecker edit by Akio Takashiro

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