富を築くための手段としての投資の対象には、不動産や株式、債券、金、ビットコインなどがある。これらのうち、投資するのに最適なものは何だろうか。これに対する一つの答えを示すのが、投資家を対象とした調査の結果だ。そして、もう一つは過去の市場実績だ。
調査会社ギャラップが4月に発表した調査結果によると、米国では投資対象として最適なのは「不動産」であると考える人が、5年連続で最も多くなっていることが分かった。回答者の3分の1以上が、その他の投資対象よりも不動産を選ぶとしている。
また、およそ4分の1は、「株式または投資信託」を挙げた。「金」と答えた人は全体の17%、「普通預金」「譲渡性預金(CD)」とした人は、いずれも15%程度だった。債券と回答した人はわずかで、全体の6%余りだった(選択肢にはビットコインが含まれていなかった)。
一方、過去の市場パフォーマンスは、これらとは異なる答えを指し示している。過去12カ月の実績では、不動産は株式や金、そしてビットコインに比べてかなり低い水準の伸びにとどまっている。過去5年で見ても、株式とビットコインには大差を付けられている。長期的には株式が最も多くの利益をもたらすとした研究結果が複数発表されていることから、この結果に驚く金融の専門家もいるかもしれない。
投資家が投資対象として最適と考えるものと、それらの実際のパフォーマンスに差異が生じることには、いくつかの理由がある。その一つは、リスクだ。投資家は大抵、株式はその他の資産よりもリスクが大きいと考えている。
もう一つの理由として挙げられるのは、人口動態の変化だ。投資家たちにとってより適した対象が、人口の高齢化によって債券やCDに変化しているのだ。さらに、株式の一部やビットコインといった新しい投資対象については、投資家たちにとって「知らない、親しみがない」ものであるという面も影響を及ぼす。