キャリア・教育

2018.05.22 08:30

大手百貨店から転職した「日本一負けず嫌いな自治体職員」

生駒市職員の大垣弥生

生駒市職員の大垣弥生

「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2017」を受賞した、奈良県生駒市職員の大垣弥生の紹介文の一節には、「日本一負けず嫌いな自治体職員」と書かれていた。

大手百貨店に10年勤めた後、2008年に生駒市役所へ転職した大垣は、前職のキャリアを生かし、広報業務の改革を進めた。この間、生駒市は全国広報コンクールで延べ11回入選し、読売新聞社賞も3回受賞、2016年には広報誌、ホームページ、広報企画、動画の4部門で入選を果たした。

大垣の活動は市役所内の仕事だけにとどまらない。2015年2月に、他の自治体職員とふたりで、全国の行政広報担当者が学び合う場、「広報基礎 愛の100本ノック」(以降「ノック」)を立ち上げた。このグループは、全国から志高い100人以上の自治体職員が参加し、各自のスキルアップに貢献した。

自治体職員は専門領域を越えた異動が多いため、スキル不足に直面せざるを得ないことも多い。大垣は転職の際にその大変さを理解していたからこそ、「ノック」という学びの場が、多くの広報担当者の力にもなると考えた。

また、大垣は隔週でそのSNSグループにも投稿し、50回にわたり、惜しげもなく広報のノウハウを共有した。その内容は、広報担当としての心構えから、文章のライティング、写真撮影、誌面レイアウト、SNS活用からメディア対応など多岐にわたる。

この活動にはかなり変わったルールがある。投稿に対して、一定頻度でコメントをしない者は強制的に退会となる。公務員の勉強会らしからぬ厳しいルールだが、「受け身では成長は望めない」という大垣の強いこだわりによるものだ。

その厳しさから、「ノック」では、大垣は「女王様」と親しみを持って揶揄されたりするが、本人は雰囲気づくりのための演技だと言い張る。そこには、厳しくも愉快なコミュニティが存在していることが垣間見える。


「広報基礎 愛の100本ノック」オフ会

2017年12月に「ノック」はその役目を終えたが、いまも参加メンバー同士で飲み会などが行われており、20年後には同窓会の開催も予定されていて、驚くことに幹事までも決まっているのだという。
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文=加藤年紀

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