オフィス電話のDialpadがAI企業買収「自動議事録作成」も視野に

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AI(人工知能)はシリコンバレーにおいてある種のバズワードとみなされている。しかし、ここに紹介する2社にとってAIは、今後のビジネスを強力に推進する確かなパワーだ。

オフィスの内線電話に革命をもたらすコミュニケーションツール「Dialpad」が、AIを用いた会話分析に特化した企業「TalkIQ」を買収した。企業データベース「PitchBook」によるとDialpadは過去に企業価値2億5000万ドル(約276億円)で7000万ドルを調達していた。また、TalkIQの累計資金調達額は2200万ドルに及んでいる。

TalkIQのCEOのDan O’Connellは今後、Dialpadの役員会に加わり、音声AI部門を率いていく。関係筋によるDialpadはTalkIQに5000万ドル未満の金額を支払ったという。

かつては「Switch Communications」の名で知られたDialpadは、VoIPテクノロジーのパイオニアであるクレイグ・ウォーカーが設立し、その技術をヤフーやグーグルに売却した(サービス名称のDialpadは一時、ヤフーのものになったが、その後同社はこの名称をヤフーから買い戻した)。

創業から約7年が経過した今、Dialpadの売上は数千万ドルレベルに達している。同社の最も有名なプロダクトは「UberConference」というカンファレンスコールシステムだ。同社は社内の内線電話に置き換わる社内コミュニケーションツールを提供し、最近ではコールセンター機能もリリースした。

顧客には「WeWork」や「Uber」らもおり、両社とも社内で広範囲にDialpadのツールを活用している。

TalkIQの買収により同社は今後、リアルタイムの会話の書き起こしや、議事録の作成、会話の感情認識といった機能を追加する。TalkIQのテクノロジーを使えば、会話の内容を自動で分析し、それがリクルーティング関連の会話か、カスタマーサポートのものであるかも把握可能になる。

両社の経営陣はともにグーグル関連の事業を手がけたことがあり、古くからの知り合いだった。その後、提携の話が持ち上がり数ヶ月をかけて買収のディールが成立した。TalkIQの29名のスタッフは今後、Dialpadに加わり、自然言語処理やマシンラーニング部門を支えていくことになる。TalkIQはスタートアップスタジオの「Atomic」出身の企業で、2016年にステルスモードで事業を開始していた。

Dialpadはウーバーと長期的契約を結んでおり、WeWorkとの取り組みも拡大させていく計画だ。TalkIQを傘下に収めたことで、今後の大手企業との取り組みにおいてより強固なポジションを築けたとウォーカーは話す。

先日、Dialpadは1200名規模の社員を擁する企業と新たな契約を結んだという。「この分野ではまだまだ、新たなイノベーションに対する需要が大きい」とウォーカーは述べた。

編集=上田裕資

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