米トランプ政権は深センに本拠を置くZTEが対イラン制裁に違反したとして、同社が米企業からスマートフォンや通信機器に不可欠な部品を購入することを7年間禁止すると発表した。
この措置により、ZTEは主要事業の運営停止に追い込まれている。トランプはツイッター上でZTEへの制裁緩和を示唆したが、同社の顧客の中には供給体制への不安から取引を縮小するケースが出ており、業績の影響は甚大だ。こうした中、ライバル企業がZTEの顧客獲得に動いており、一度失った契約を取り戻すのは容易ではないとアナリストらは指摘する。
トランプは、5月14日に次のようにツイートした。「巨大企業であるZTEが速やかに事業に戻れるよう、習主席と方策を協議している。中国ではあまりに多くの職が失われた。既に商務省に対して指示を出した」
米スマホ市場で4位のZTE
ZTEの中で打撃が最も大きいのはスマートフォン事業だ。現在、アリババが運営する「Tモール」のZTE公式ショップは販売を停止している。また、オーストラリアの大手通信会社「Telstra」は「米国の制裁により当社への商品供給が困難になった」と述べてZTE製スマートフォンの販売を取り止めた。
ZTEにとって最大の痛手は、苦労して開拓した米国市場でシェアを失うことだ。ZTEは米国で成功した数少ない中国ブランドだ。同社は高機能なスマートフォンを低価格で販売することに加え、NBAの試合のスポンサーを務め、ロビー活動に多額の費用を投じて政治家やパートナー企業から信頼を獲得し、米国市場で4位となる11%のシェアを獲得することに成功した。
調査会社「Canalys」のアナリスト、Jia Mo によると、同社が昨年出荷した4020万台のスマートフォンのうち、47%は米国向けで中国向けはわずか17%だったという。本国ではファーウェイやOPPO、シャオミなどの現地企業との競争が熾烈で、大きなシェアを獲得できていない。最重要市場である米国では、製品の供給不足への懸念から一部のキャリアが取引を縮小し始めており、ZTEは苦境に立たされている。
例えば、T-Mobileは既にサイト上からZTE製品を削除している。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、AT&Tは制裁による影響を精査中だという。より小規模なキャリアは、これまでアップルやサムスンの製品と並行して低価格帯のZTE端末を販売してきたが、現在は代替メーカーを探している。
米国で販売されるスマートフォンの大半がキャリア経由であり、米国を本国以上に重視してきたZTEにとっては、米国のキャリアとの提携関係を失うことは大きな打撃となる。CanalysのJiaは、競争の激しい中国で業績を伸ばすのは非常に難しいと指摘する。
「ZTEが早期に打開策を見出すことができなければ、さらに多くのキャリアが他のメーカーに切り替えるだろう。販売チャネルを元に戻すのには長い時間を要することになる」とJiaは話す。