ビジネス

2018.05.18

大量生産、マスマーケからの脱却 企業が「ファン」をつくる時代がやってきた!

マクアケ 中山亮太郎 代表取締役社長、マネーフォワード 辻庸介 代表取締役社長CEO、サツドラホールディングス 富山浩樹 代表取締役社長




藤吉:マネーフォワードの辻社長も全国をずっと出張していますよね?
 
:中小企業は、採用に苦戦しがちなので、人がいないなかでどうやって効率を上げるかが課題です。マネーフォワードは中小企業向けのクラウド会計、給与計算や請求書作成サービスを提供しています。これも実際に現場に行ってみて、お客さんと話してみないとわからないからです。
 
藤吉:マネーフォワードは地方の銀行と提携する事例が増えています。銀行というと、「晴れた日に雨傘を貸して、雨が降ったら傘を取り上げる」というテレビドラマのイメージが定着しています。
 
:僕もベンチャー企業なので、なかなかお金を貸してもらえない時代があり、「成長企業を助けるのが銀行じゃないですか!」と言ってみたもののダメだったり(笑)。でも、今の地方銀行さんはお金を貸すことだけが価値ではないと認識して、企業のマッチングやコンサル業務にチャレンジするなど新しい取り組みを模索し始めています。これまで通用していた能力とは違う能力が求められるようになっていますね。
 
中山:既存の枠にとらわれない、総合コンサル企業のような業態転換が求められています。そういう認識をもった銀行が頑張っている地域は、地域を元気にしているというのが、全国を歩いていて見えてくる現象ですね。
 
:僕らが地域を変えるなんて、おこがましいのですが、テクノロジーで元気になるお客さんが地域に1割でもいると、それに続く人たちが出てきて地域全体が元気になる。僕らとしても、志のある人と一緒にお仕事ができるのはとても楽しいです。
 
中山:いま私が熱いと思っているのは、岐阜県関市。700年続く刃物づくりの町で、金属加工が非常に強い地域です。金属加工の下請けをしていたツカダさんという会社で、ある社員が金属加工の技術を使って便利な文房具をつくりました。すると、面白いことに『縦と横の変化』が生まれ始めているんです。

『縦の変化』は社内で「あいつができるんだったら、俺も」と、社内に新製品開発のための密談ミーティングが生まれたことで、『横の変化』とは周囲の会社が「うちだって、できる」と挑戦し始めたこと。ひとつのチャレンジがまわりに勇気を与えていく。関市では、チャレンジしないのは格好悪いという空気になっています。出る杭は叩かれる時代から、出る杭にならないと格好悪いという時代になってきたのではないでしょうか。


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文=フォーブス ジャパン編集部 写真=岩沢蘭

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