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日本の自治体もそうだが、世界中の多くの都市はそれぞれに観光案内所を持っている。これは僕にも心当たりがあるのだけれど、だいたいにおいてそのような観光案内所はあまりうまく活用されていない。

窓口を設置したことで満足しているのか、あるいは業界内だけのつながりでよしとしているのかはわからないが、実際にその街を訪れたいと考えている観光客に、本当に知りたい情報が届けられていないという現状があるように思う。

行政に頼っても日本の魅力はうまく伝えられないと考えている赤坂さんは、自身の蕎麦屋に段階的にだが、47都道府県の観光案内所としての機能を持たせようとしている。自ら“本物の日本文化”をバルセロナに持ち込み、イベントを開いたり、展示したり、味わったりしてもらうのだ。

実際、赤坂さんは、2016年6月に民間の人たちの力を借りて、徳島の阿波踊りをバルセロナへと誘致している。国や自治体にとっても、独自に観光案内所を運営するよりは、既に実績をあげている民間に助成金を払ったほうが、費用対効果も高そうだ。

「お金がないスペインの若者が日本に憧れて、苦労して安い航空券を探し、アイデアを絞って旅行プランを練り、日本にやって来てくれる。そんな彼らに最高の旅を経験してもらうことこそ、本当の“おもてなし”ではないか」と赤坂さんは考えている。そのための情報発信基地となるのが、バルセロナの蕎麦屋なのだ。

スペイン語は世界第2位の国際語に

2017年から日本とスペインの間でワーキングホリデービザが発布されるようになったことも、赤坂さんの活動を後押ししている。スペインの若者の失業率は、近年は下がってきたとはいえ、それでも40%を超えている。若者が働きたくても働けないという現実がスペインにはある。

そんなスペインの若者がワーホリで日本へやってきて働き口を見つければ、スペイン側から見れば雇用対策にもつながる。彼らを受け入れる日本側としても、とくに人手不足が深刻だといわれる飲食業界にとっては、大きなメリットも得られそうだ。飲食関係にも太いパイプを持つ赤坂さんは、既に知人の飲食店にワーホリで日本へやってきたスペインの若者を紹介したそうだ。

スペインからに限らず、赤坂さんがたくさんの外国の人たちに日本を訪れて欲しいと考えるのは、日本の若者たちに刺激を与えたいという想いもある。世界を飛び回る赤坂さんの目には、日本の若者たちが、どうにもおとなしく見えるのだそうだ。

外国の人たちと直接コミュニケーションを持つことで、なかなか海外に目を向けない若者たちが、少しでも興味を持ってくれるかもしれない。あるいは日本にやってくる人たちから、たくましいエネルギーを受け取ってもらえるかもしれない。そんな期待を抱いているという。

逆に、今回、赤坂さんがバルセロナに拠点を持ったことで、日本の友人たちがバルセロナをぐっと身近に感じるようになり、たくさんの人が遊びに来たという。そこで、スペインの人たちが日本からの人たちと関わり合いを持てば、彼らだってより日本に親しみを感じることになる。

また、スペイン語は今後、英語に次いで世界第2位の国際語になるとされている。スペインの人たちとの交流が活発になり、スペイン語が話せる日本人が増えれば、日本の国際競争力も高まるかもしれない。

文=鍵和田昇

レゴタゾマツダ
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