ビジネス

2018.05.15

地方の人材危機解決へ ローカルとグローバルが連携する新ソーシャルビジネス

フィリピン人の平均年齢は23歳。日本の46歳の半分だ。


フィリピンの子どもたちの教育から始める

八戸学院グループは、日本で働くことを目指すフィリピン人の人材育成を目的とし、2018年、フィリピンに中高一貫校「八戸学院カーテル高校」を開設する。

カリキュラムには、週2~3時間の日本語教育と、書道などの日本文化教育を含めた。その理由は、生徒に日本を理解してもらい、好きになってもらってから、日本に来てもらいたいからだ。教師は日本からも派遣する。


お茶の淹れ方について学ぶ八戸学院カーテル高校の生徒たち

同校を卒業する生徒のうち20名ほどが、前述の制度を利用し、19年春に新設予定の八戸学院大学短期大学部福祉学科(学科設置申請中)に進学する予定だ。

IT人材の育成にも力を入れる。具体的には、フィリピンのトップクラス5大学のIT専攻生から優秀な人材を選抜し、CNE1で半年間、日本語日本文化習慣の集中トレーニングを施す。その間のトレーニング費と生活費は日本の受け入れ企業が支援するというものだ。

来年には、現在あるフィリピンの大学のカリキュラム変更をし、「八戸学院カーテル大学」を新設する準備をしていくとのこと。

勤勉で、英語力が高く、ホピタリティに溢れているフィリピン人の特質は、IT・介護業界に合致する。

「技能実習制度のように、その場しのぎで人を集めることでは、何も解決しない。だからこそ、この仕組みをモデルケースとして、ゆくゆくは全国で使ってもらいたいです」と大谷は意気込む。

今後、日本の喫緊の課題である人材不足と、新興国の就職課題を同時に解決する八戸モデルを全国に共有していく構想が進んでいくだろう。

国家の政治的な意図が大きく介入する国と国の協力関係を築くのは簡単ではない。ならば、世界の地域と地域が、直接繋がり、足りないもの、余っているものを補い合えばいい。そんなことが世界中で行われていけば、世界のさまざまな地域課題は、今まで考えていたよりもはるかに簡単に、早く、解決に向かうのではないだろうか。

取材・文=早田祥子

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