iPod生みの親がパリに移住「ステーションF」で起業家ら育成

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ファデルは彼がアップルを離れて以降に立ち上げたファンド「Future Shape」を通じ、100社以上のスタートアップに出資を行ってきた。その中にはパリ本拠の海運向けのマーケットプレイスの「Everoad」や「Nutley」、バイオ技術で人工皮革を生み出す「Modern Meadow」などが含まれる。

Future Shapeが本拠を構えるのは、ファデルの友人でフランスのテック業界のビリオネアとして有名なグザビエ・ニール(Xavier Niel)が設立した巨大インキュベーター施設の「Station F(ステーションF)」だ。

大物投資家、グザビエ・ニールとの連携

世界最大規模のインキュベーター施設であるStation Fは昨年始動し、ベンチャーキャピタルの「Accel Partners」や「Index Ventures」「Balderton Partners」らも出資している。Station Fのキャンパスには1000以上のスタートアップ企業がオフィスを構えている。

情報サイト「CB Insights」の今年4月のデータでは、フランスのテック企業に対する投資額は2017年を7%上回る勢いだという。また、英国のEU離脱の影響の先行きが不透明な中で、調査企業「Dealroom」はフランス企業の調達額が2017年、他の欧州諸国の調達額を上回ったと述べている。

言語の問題が足かせになることはないのかとファデルに問いかけたところ、彼は「全く問題にはならない」と答えた。「フランスの起業家らは英語に堪能で、テクノロジー分野では中国語も第二言語として浸透を始めている」と彼は話した。

ファデルはNestをグーグルに売却して以降、Nestの経営から身を引いた。その後、グザビエ・ニールとの交流を深め、Station Fを通じたフランスのスタートアップの育成に注力している。

「Station Fでは今、かつてのシリコンバレーと同様のベンチャーキャピタルらがスタートアップを支援し、新たなイノベーションが生み出されていくサイクルが生まれつつある」とファデルは話した。

編集=上田裕資

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