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artapartment / Shutterstock.com

テック業界で成功したいならシリコンバレーに向かうべきだという考えが、IT業界では当たり前になっている。しかし、「iPodの生みの親」として知られるトニー・ファデルはこの考えに異論を唱える。

ファデルがスマート・サーモスタット企業の「Nest」の構想を練っていた2009年、彼はシリコンバレーではなくパリにいた。

「シリコンバレーの喧騒の外に身を置いていなかったら、Nestは生まれていなかったはずだ」とファデルは話す。

創業から5年、2014年1月にNestを32億ドル(約3500億円)でグーグルに売却したファデルはフランスのパリに本拠を構え、5億ドル以上と伝えられる資金を、世界のスタートアップに出資している。

一体なぜ、フランスなのかと思う人も多いだろう──。週35時間労働制が法律で定められたフランスは長年、スタートアップの後進国とみなされてきた。しかし、家族とともに世界一周の旅を終えたファデルは2009年以来、フランスに居を構えている。

彼はパリの第7区にアパートメントを購入し、地元の学校に子供らを入れた。フォーブスの取材にファデルは今、シリコンバレーの複数の仲間を家族ごとフランスに招き、彼の「起業革命」に招き入れようとしていると話した。

調査起業「ManpowerGroup」のデータでは、シリコンバレーで働くフランス人は約6万名におよび、現地最大の欧州人勢力となっている。しかし、かつてファデルとともにアップルやNestに勤務したフランス人の多くが、母国に帰ることを検討しはじめているという。

「9年前に自分がフランスに戻って以来、母国に帰国したいという仲間から相談のメールをもらうことが多くなった。起業家たちの間で大きな変化が起きつつある」とファデルは話した。

英国や米国が保護主義的な政策を打ち出すなかで、41歳のフランスのマクロン大統領はオープンでビジネスフレンドリーな方針を強く打ち出している。マクロンは労働関連の規制を緩和し、スタートアップの外国人雇用を容易にする大統領令を発動した。

5月1日に発行された米国版「フォーブス」のインタビューで、マクロン大統領は起業家が資産を国外に移転させる場合に支払う、30%の国外転出時課税を撤廃する計画を明らかにした。

30%の国外転出時課税は起業の大きな妨げになっており、ファデルはこの件でマクロンと話し合いを重ねてきたという。「フランス政府はこの件に関して、非常に前向きな考えを持っている」とファデルは話した。

編集=上田裕資

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