テクノロジー

2018.05.12 19:00

イスラエルを初訪問したアリババ創業者の感動スピーチ

アリババ創業者のジャック・マー(Photo by Sean Gallup/Getty Images)

アリババ創業者のジャック・マー(Photo by Sean Gallup/Getty Images)

中国のアリババ創業者のジャック・マーは先日、約30名の部下たちを引き連れてイスラエルを初訪問した。彼らは投資家や約30社のスタートアップ企業と面談し、エルサレムの嘆きの壁などの観光名所も訪れた。

マーはイスラエルでのビジネスチャンスに期待を高めていると述べ「これからもっと多くのことをこの国でやっていきたい」と話した。中国で最も成功した起業家である彼は、アリババの創業からの歴史と、イスラエル建国の歴史の共通点についてふれた。

ここではジャック・マーのイスラエル滞在中の談話を要約して、紹介したい。

今からずっと昔、アリババを創業した頃に友人が話した言葉を思い出す。「強くなりたいと願うのなら、イスラエルに行くべきだ」──創業当時のアリババは多大な困難に直面し、判断ミスを犯すことも度々だった。そんな時、いつも自分や仲間たちに語りかけたのは、「絶対にあきらめるな」という言葉だった。“ネバー・ギブアップ”の精神が、建国からわずか70年で奇跡を成し遂げたイスラエルの根底に流れている。

人口約800万人のイスラエルに自動車メーカーは無いが、最高のクルマを生み出すテクノロジーがある。ダイヤモンドの鉱山はないが、世界有数のダイヤモンド取引所がある。水や石油といったあらゆる天然資源をイスラエルは持たない。それでもこの国は、技術の力で困難を克服し、人々の知恵とイノベーションで強い国を築き上げた。

地球上で最も大切なのは人々の頭脳なのだ。人類にとって一番大事なアセットは、困難な日々を乗り越え、試行錯誤を重ねた経験だ。

アリババの使命はスモールビジネスを助けていくことであり、小規模なビジネスにこそ力があると信じている。イスラエルは小さな国だからこそ実現できる未来を提示した。イスラエルの歴史から我々が学ぶべきことは非常に大きい。この国に来れたことをとても感謝している。

テルアビブ大学に訪れて感じたのは、イスラエルの人々のビジョンや創造性と知恵の力だ。人々はみな、自らの未来のために戦っている。

私にとってイスラエルを訪問することは長年の夢だった。もっと早くここに来れば良かったと思うし、今後はもっと頻繁にこの国を訪れたい。本から知識を得るだけでなく、実際に来て、イスラエルを体で感じるべきなのだ。

今回の訪問で私は「フツパ(Chutzpah)」という言葉を教わった。フツパというのは伝統的な価値観にチャレンジする精神性を表す言葉であり、これこそが21世紀的な価値観だと信じている。フツパはテクノロジー業界のイノベーションにも通じ、我々を未来に導く精神だ。かつては、人間を機械のように働かせることに重きが置かれたが、本当の未来は人間そっくりな機械を生み出すことだ。

イスラエルに来て思うのは、人類にとっていかに平和が大事であるかということでもある。第1次産業革命は結果的に、第1次世界大戦を生み出した。第2次産業革命は第2次世界大戦につながった。そして今、人類は第3次産業革命の時代に突入している。

戦争は避けなければいけない。我々が戦わなければならないものがあるとすれば、それは貧困の撲滅や、病気の根絶、さらには環境に対する脅威といえるだろう。

編集=上田裕資

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