ロビンフッドはこれにより、米国で最も評価額の高いスタートアップの1社となった。このラウンドで同社に出資したのは、ロシアの富豪ユーリ・ミルナーが率いる投資ファンド、DSTグローバルのほか、米セコイア・キャピタル、キャピタルG(旧グーグル・キャピタル)など。
カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置くロビンフッドは今後、調達資金を手数料無料のサービスの拡充、顧客サービスとエンジニア・チームの強化などに充てる考え。同社はこれまで、取引にかかるコストを引き下げることにより、金融市場に参加する人を増やすことを目指してきた。イー・トレード(E*Trade)やTDアメリトレード(TD Ameritrade)などその他のインターネット証券は、一律6.95ドルの売買手数料を徴収している。
ロビンフッドのアプリでは個別株の売買のほか、ミューチュアルファンドや上場投資信託(ETF)、オプションなどの取引を行うことができる。
ユーザーはすでに400万人以上。同社によれば、創業以来ユーザーが行った取引は1500億ドル規模に達しており、節約できた手数料は総額10億ドルを超えるという。また、同社は今年2月から米国内の10州で、ビットコインやその他の仮想通貨を無料で取引できるサービスを開始している。
ロビンフッドはコストの抑制などにより、ユーザーに無料のサービスを提供してきた。店舗は開設せず、マーケティング活動はほとんど行わず、従業員もわずか200人程度だ。主な収入源は、「ロビンフッド・ゴールド」と名付けた有料サービス。時間外取引や株の信用買いなども行うことができる定額制のサービスだ。同サービスへの加入者数や、同社がこのサービスから利益を上げているかなどについては、明らかにされていない。
米国のフィンテック関連のスタートアップで、評価額が最も高いのはモバイル決済のストライプ(約91億ドル)だ。2013年にスタンフォード大学出身のブラッド・テネフとベイジュー・バットが共同で創業したロビンフッドの評価額は、それに続く第2位となった。同社がこれまでに調達した資金の総額は、およそ5億3900万ドル。昨年にもDSTグローバルなどから1億1000万ドルを調達し、評価額は約13億ドルとなっていた。
ロビンフッドがシリーズDの資金調達を行う計画であることについては、今年3月にウォール・ストリート・ジャーナルが最初に報じていた。