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2018.05.13

見た目はそんなに大切か? マツダが新デザインで勝負をかける

マツダ 魁コンセプト




そのマツダが今、ブランドを再定義しようと準備している。2017年10月の東京モーターショーでついにアンヴェールし、今年3月にニューヨーク国際オートショーでアメリカの市場に初めて姿を現した「魁コンセプト」は、「シングル・モーション」と呼ばれる同社を新しい方向に進める新しいデザイン言語だ。

前田育男は2009年にマツダのデザイン・ディレクターに就任すると、「魂動」デザイン・コンセプトを導入し、それによって日本でもっとも強いブランド・アイデンティティーを確立させた。その前田と彼のチームが今、もう一段高みへと進もうとしている。現在、全マツダ車が採用しているダブル・モーション・スタイリングは、力強いアクセントの効いたエッジを持ち自由に流れるフォームだ。

これから数年の間に、同社のデザイン言語がダブル・モーションからシングル・モーションへと再構築される。それは、これまで際立ってきたエッジに代わって、常に移ろう光と陰、あるいは光の反射を受け止めるなめらかなボディを削り出すこと。「これが、マツダの未来のデザイン言語だ」と前田は言う。

「魂動」というデザイン言語がすべてのモデルに採用されてきたお陰で、グリル、ヘッドライト、車側のスタイリングは全モデルで互換性があるかにさえ見えるし、それがアイデンティティーを確立してきたのではあるが、正直にいえば、ちょっと古くなってきた感は否めない。言い換えれば、ちょっと疲れてきた感じがする。マツダもそう感じていたらしい。

そこで、マツダの次世代を担うのが「魁コンセプト」だ。マツダ関係者は、次期アクセラのベースになるかも知れないと言う。これまでの個性的なエッジを消して、また新たにアグレッシブで新鮮な味を表現しようとしている。

魂動デザイン言語を10年近く採用した成果は、販売での世界的な好成績と、多くの栄誉を獲得したことが証明している。新しいコンセプトを導入するには、絶好のタイミングと言えるだろう。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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