ビジネス

2018.05.17

ライブコマース戦国時代、僕は「バーチャルYouTuber」に夢を見る

ストライプインターナショナル、石川康晴社長


事業参入は「後発でもいけるか」「先行者であるべきなのか」で決める

──バーチャルYouTuberをファッション業界で活用するという構想は、他に類を見ないですよね。

そうですね。バーチャルYouTuberを作るタイミングは早すぎると思いがある一方で、いまだからこそやっておかなきゃいけないという気持ちがあって。

──「いまだからこそやっておかなきゃ」と思われるのは、なぜなのでしょうか。

僕は、事業参入のタイミングについて「後発でもいけるのか」「先行者であるべきなのか」という視点を大切にしています。

前回もお話しましたが、ファッションECモール事業に参入するタイミングは、ものすごく待ったんですよ。スマホの普及率と、スマホで服を買うユーザー数がマジョリティを超えるまでは参入しなかった。これは、「後発でもいける」と判断したからです。

同じように、「サイズを取る」という課題に対してZOZOスーツのようなテクノロジーのソリューションが出てきたときも、待つという判断をしました。

それは、「ZOZOスーツのような最新技術でなくとも、もしかしたら3Dプリンターでもいけるかもしれない」という考えがあったからです。コストの面でも、データの安定感の面でも、そちらの方がいいと考えた。

──バーチャルYouTuberは「先行者であるべき」なのでしょうか。

はい。バーチャルYouTuberって、1体つくるのに約1000万円かかるんです。今はベンチャー企業も頑張っていますが、大企業が一気にバーチャルYouTuberに投資して、100体や200体作ると言い出したら、ベンチャー企業はどう頑張っても太刀打ちできない。

もしかしたら、この3年でバーチャルYouTuber事業からベンチャーはほとんどいなくなってしまう。そんな考えも持っていて。そういう状況の中で、一応僕たちは「100人作ろう」と言える規模でバーチャルYouTuberに投資できる会社なので、そのマーケットに参入する価値があるかなと思っています。

──なるほど。

あとは純粋に、最初に有名になったバーチャルYouTuberを追い抜くものを作るのって大変だと思うんですよね。

そのような点で、ファッションECモールは「待ち」だったけど、バーチャルYouTuberは「いまやるべき」だと思っています。

石川康晴の「新しい小売の形」
第1回第2回第3回

文=明石悠佳 写真=小田駿一 聞き手=最所あさみ

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