日本国内は暗雲が立ち込めているが、海外に目を向けてみると、状況はまるで違う。海外市場調査によれば、2020年にはファッションの市場規模は325兆円に成長する見込みだという。とりわけ、中華圏、東南アジアは大きな成長の余地を秘めている。
そんな海外市場に目をつけ、海外進出を図る日本ブランドは多いものの、成功を収めているのは「ユニクロ」など一握りのブランド。どのようにして海外展開を進めれば、成功するのか。
ニューリテールを中心としたこれからの小売業の形について、「earth music&ecology(アース ミュージック&エコロジー)」をはじめ、アパレルや飲食など15ブランドを国内外で展開する、ストライプインターナショナルの石川康晴社長に取材する本連載。
最終回である第5回では、小売業界における日本ブランドの海外展開について話を伺った。
アメリカと中国は「給料」、インドネシアは「投資」が海外展開の障壁に
──日本ブランドが海外展開をするときに「障壁」となる点について教えてください。
障壁となる点は国によって違いますね。例えば、アメリカと中国では「給料」が障壁になっています。どちらの国も、経営人材は年収5000万円以上出さなければ採用できません。
アメリカは想定内ですが、中国の給与水準がここまで上がってきている、というのが重要な視点です。中国の中でも、上海と深圳(しんせん)はIT系企業を中心に給与水準が高騰している。
同じように、インドネシアにも海外展開の障壁があるんですよ。
──インドネシアですか?
インドネシアは「投資」の面で海外展開が難しい。実はインドネシアの企業は、アメリカ、中国などのテック企業から高く評価されていて。例えば、テンセントやアリババなどが多額の投資費用を持っていい企業を探しに来ている。
インドネシアの都市部
だから、日本の企業が軽い気持ちで少額の投資費用を持ってどこかの企業を買収しようとしても、まず勝てるわけがありません。
海外展開の機会はベトナムのリテール
アメリカや中国で、テックに造詣が深いCEO人材を採用しようと思うとお金がかかるし、インドネシアでテック企業を買収しようとしても全く太刀打ちできない。
一方で、多くの企業がノーマークだったベトナムは、リテールの海外展開において非常に費用対効果の高い国でした。
──なぜ、ベトナムだったのでしょうか?
ベトナムは、テクノロジーのインフラ環境が悪すぎるんです。データ回線が悪く、Wi-Fiも全然普及していないし、5Gが入る場所もわずかしかない。
それはすなわち小売業界にとって、「Eコマースが当分、浸透しない」ことを意味するんですね。